元銀行員の金融とテクノロジー雑記

主に金融とテクノロジー(フィンテック・ブロックチェーン・ビットコイン)、投資(株式・FX・不動産)を学ぶために書いているただの雑記。

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今後の日本の金融業界を把握するために、知っておきたい3つのこと。

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【2017年5月一部修正・更新】

以前の記事で、2016年の銀行法改正を皮切りに、近い将来日本でも金融ベンチャーの買収が盛んになり、本格的に金融×ITのトレンドが日本に広まるとの予想を立てました。

このような買収ブームとは別に、今日は「今後の日本の金融業界のトレンド」を3つのポイントから考察していこうかと思います。

1. 他業界から金融業界への進出

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まず一つ目のポイントとしては、「業界の垣根が薄くなっている」ことが挙げられます。近年の日本の歴史を振り返ると、金融業界ヘは「決済分野」を皮切りに、他業種からの参入が相次いでいます。

イオンや楽天、セブンイレブンなどは元々小売業界にいましたが、現在では金融業としての存在感が際立っています。楽天を例にとってみると、つい最近こんな記事がでました。

takanoridayo.blog.shinobi.jp

ご覧いただくと分かるように、楽天は現在では約半分が金融事業となっているのです。クレジットカードなどの決済、銀行業ともに大きな存在感のある企業となりました。

米国でも大手IT企業のGoogle WalletやApple Payなどは業界横断の好例であり、Amazonもオンラインレンディングサービスを始めたりと、ITと金融の融合は今後も後を絶たないでしょう。

資金決済法による規制緩和

日本に話を戻すと、日本では2010年に資金決済法が制定されました。

この法律により、資金決済法による登録をした者は「資金移動業者」として為替取引が可能になりました。つまり、銀行でなくとも振込や送金のサービスを提供して良いことになったのです。

「1回あたりの取扱金額は100万円以下」、「送金途中にあり滞留している資金の100%以上の額を資産保全する必要がある」などの規制はありますが、サービスを提供するのに銀行業等の免許は不要になったのです。

金融業への参入障壁は依然として高い

この法律によって、他業界から金融業界への新規参入が始まりました。参入例としては、LINEやGMOなどの大手企業だけでなく、Metapsなどのベンチャー企業なども挙げられます。

ですが、既存の金融業界をディスラプトしているとまでは今の段階では言えないと思いますので、金融業界への参入障壁は依然として高いままと言えるでしょう。

ちなみに銀行業の参入障壁は非常に高く、最低資本金額は20億円以上です。資金移動業であれば、1000万円が最低要履行保証額なので、最低1000万円以上の準備になります。

また、余談ですが損保市場は3社の寡占状態であり、合併はありましたが、ほぼ大手の寡占状態は変わっていない状況です。生保市場もライフネット生命が以前話題になりましたが、同様の状況です。

一方、既に破壊されかけているクレジットカード業界と、送金や融資業務が大きくディスラプトされる可能性のある銀行業界に関しては、今後一波乱あるかもしれません。

2. 資金調達手段の多様化(2017年5月修正)

以前もご紹介しましたが、今後もソーシャルレンディングやクラウドファンディングなどの「オンラインでの資金調達サービス」は日本でも増えていくことが想定されます。

購入型のクラウドファンディングに関しては、ちょうど2011年の震災があったタイミングで、日本でもサービスが始まりました。

camp-fire.jp

最初に参入したのはReady forで、現在ではCampfireやMakuakeなとが有名です。

クラウドファンディングは金融サービスに位置付けられていますが、きちんとした規制が今までなかったため参入障壁は高くなく、次々に新しい購入型のクラウドファンディングサービスが生まれました。 

新聞社のクラウドファンディング参入

クラウドファンディング領域における近年の注目すべき動きは、2015年に朝日新聞さんという大企業が参入を表明したことです。

a-port.asahi.com

新聞社であることもあり、圧倒的なメディアとしての発信力があります。

紙面を使った特集を組むことで、これまではリーチできなかった層の人達にも情報を届けられる可能性も秘めており、既存プレイヤーの大きな脅威となりそうですし、このオンラインでの資金調達という領域が、より盛り上がっていくことが想定されます。

オンライン融資の詳細についてはこちらのソーシャルレンディングに関する記事をご参照下さい。

株式型クラウドファンディングの規制と影響

ちなみにクラウドファンディング領域に関しては、2015年5月29日に金融商品取引法が施行されて「株式型クラウドファンディング」が解禁されました。

そこでの「規制と影響」を備忘録的にまとめておきます(クラウドファンディングの種類についてはこちら)。 

主な規制
  • サービス提供側:第2種金融商品取引業の登録と最低資本金1000万円(匿名組合型クラウドファンディング業務は500万円)が必要
  • 投資家側:1つの企業への投資金額は50万円が上限。株式の売却は可能だが、売却先は企業関係者の投資グループに限る
  • 借り手側:調達金額は1億円未満に限る
主な影響
  • ベンチャー企業が資金調達として利用する
  • 個人投資家が新しい投資商品として利用する
  • 証券会社がクラウドファンディング事業に参入する
    クラウドバンクを提供する日本クラウド証券株式会社等)

ちょっと纏めてみましたが、個人的には日本ではあまり株式型のクラウドファンディングは流行らないと思っていますので、影響もそんなに無いような気はしています。 

FUNDINNO(2017年2月追記)

株式投資型クラウドファンディング FUNDINNOの登録が始まりましたので、ご関心のある方は実際に利用されてみると良いかもしれません。

ICOによる資金調達(2015年5月追記)

個人的には、株式投資型クラウドファンディングよりも、法規制がどうなるのかは分かりませんが、近い将来日本でもICOによる資金調達が出てくるのかもしれないなあと最近思い始めたので追記しておきます。

最近はビットコインなどの仮想通貨バブルと言われているそうですが、個人的にはまさに2017年は仮想通貨元年なような気もしていて、今後ますますリクルートや3メガバンクのVCが出資するビットフライヤーや多様な仮想通貨を購入できる簡単安心!ビットコイン取引所 coincheckなどの取引所はメジャーなものになっていくような気がしています。

ICOの詳細については別記事を書きましたのでご参照ください。

ICO(Initial Coin Offering)の特徴と面白さ。

3. ブロックチェーンテクノロジー

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最後に、今後の金融業界を考える上で外せないのが「ブロックチェーン(Block Chain)」の話です。

そもそもブロックチェーンって何?

ブロックチェーンは「改ざん不可能なデータ記録の技術」です。

近年世界中で注目されている新しい技術です。何が凄いかというと、ネットワークに全ての取引履歴が記憶される仕組みになっている点です。

そのため、通貨発行者(銀行や政府)がいなくとも、通貨がどこからどこに移動したかを記録から把握できるので、結果として中央に管理者(銀行や政府)がいなくても成立するような仕組みになっています。

銀行はいらなくなるのか?

上記のかいつまんだ説明だけを読むと、「じゃあ銀行はいらなくなるの?」という疑問が生まれますが、現実ではそうはなりません。

cryptocurrencymagazine.com

現在このブロックチェーンには、世界中の大金融機関が一大プロジェクトとして取り組みを始めています。

米国ではゴールドマンサックスやモルガンスタンレー、日本では三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行など、大手20以上の金融機関が参画しています(追記:2017年時点では一部の金融機関が抜けました)。

彼らがブロックチェーンテクノロジーに熱心に取り組む主な理由は、金融機関内部のコスト削減と業務効率化のためだと考えられます。

つい先日ではこんなニュースも出ています。

www.nikkei.com

大手金融機関の取り組みが送金や決済などの銀行業を変えていくのか、それともTransfer Wiseのようなスタートアップが銀行ビジネスを破壊していくのか。今後もこの領域は要注目です。

ちなみにこのブロックチェーンというテクノロジーは大手のビットフライヤーなどが提供する「ビットコイン」にも利用されています。

今後はこのビットコインなどの仮想通貨に関しても書いていこうかと思います。

推薦本に関する追記(2017年2月)

ビットコインやブロックチェーンの領域はテクノロジーの進歩が非常に早く、情報がすぐ古くなってしまいます。

ブロックチェーンに関しては2016年に「ブロックチェーンの衝撃」、2017年に「ブロックチェーン革命」という名著が出版されましたので、正しい理解のためにはこちらの本をお勧めします。