金融とテクノロジー雑記

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フィンテックの個人投資(資産運用)サービスと会計サービス【FinTechの分野その③】

フィンテックの個人投資サービス

【2017年一部更新】

今回はフィンテック(FinTech)の分野の「個人投資・会計編」になります。

古くからある投資というと株式投資やFX、不動産投資などが思いつきますが、フィンテックの個人投資サービスはそんなにハイリスクな投資という感じではないようです。

フィンテックの個人投資(資産運用)サービスの例

個人投資サービス

こちらの記事によると、フィンテックの「個人投資」の分野のサービスは「オンラインでの個人投資プラットフォームや、投資アドバイスなど、個人投資を手助けしてくれるサービス」とのことです。

日本の資産運用サービス例「ロボアドバイザー」

例えば日本でこの分野であれば、「お金のデザインのTHEO」や「ウェルスナビ」などのロボアドバイザーが有名です。

ロボアドバイザーは、資産運用はコンピューターに任せてしまうというサービスです。

コンピューターに自分のリスク許容度や目標に応じて、適切な投資信託やらETFを選んでもらって分散投資してもらうような感じになります。

お金のデザインのTHEOは、個人で適格機関投資家であり、ライフネット生命保険に投資した「谷屋衛」さんを筆頭に経営メンバーは非常にエリート揃いです。

将来的な何かが見えているのかとは思いますが、個人的にはこのビジネスが日本人に流行るのかどうかはちょっと分からないです。

THEOとウェルスナビのターゲットの違い

なお、THEOが1万円から始められるのに対して、ウェルスナビは30万円からになりますのでそれなりに資金のある方をターゲットにしていることがわかります。

ウェルスナビにも3メガバンクが出資しており、代表の柴山氏も経歴はピカピカですので、今後の発展に期待できるサービスかと思います。

海外の資産運用サービス例(2017年追記)

ちなみにこの分野では、海外では米国の「Personal Capital」「Wealthfront」「Betterment」あたりが有名です。

米国のロボ・アドバイザーサービスについては「日本のロボアドバイザーウェルスナビと米国のロボアドバイザーの比較」の記事を書きましたので、ご関心のある方はそちらをご参照ください。

日本人に「資産運用」は馴染まない?

資産運用

世界の過去の歴史を振り返れば「お金のデザイン」さんも「WealthNavi」さんも流行るようには考えられます。

ですが、銀行で働いた経験から感じるところでは、日本人に「資産運用」や「投資」というキーワードがあまりに馴染まない印象なので、実際どうなるのかなあというところではあります。

ただ、最近は30代~40代の新しい富裕層の資産運用ニーズがあるという話もありますので、彼らがWealthNaviなどのロボ・アドバイザーを使うようには思います。

ですが結局は、人間の資産運用アドバイザーと直接会って色々と相談したいようなニーズは残るかと思います。

なので、対面でアドバイスが欲しい人は引き続きFPに相談したりする一方で、色々と仕事など他のことに忙しくて資産運用の時間がとれない方などは、ロボアドバイザーなどを利用して、資産運用は完全にお任せすることもあるでしょう。

数年後にこういうロボアドバイザーが日本でも圧倒的にスケールするのか、最終的にはどこかの大手金融機関が買収するシナリオになるのか、今後どうなるのかは今の段階では分かりませんが、引き続きウォッチしていこうかと思います。

富裕層のニーズはお金を増やすことよりも節税?

節税

ちなみに「資産運用」というと「富裕層」をイメージされる方が多いと思いますのでちょっとそちらについても書いておきます。

例えば、「個人の純資産額が3億円以上の方々」を富裕層として定義した時、彼らの多くは「資産を増やす」ことよりも「資産を減らさない」ことに関心が移ります。

つまり、いわゆる「税金対策」や「相続対策」で頭がいっぱいになるのです。

そのため、必然的に「税理士」や「事業承継/相続対策の専門家」などのアドバイザーが必要になってきます。

従って「富裕層」向けに何か金融サービスを提供する場合は、資本力や多岐に渡るサービス提供力(例えば三菱Grであれば、銀行/証券/信託/不動産等々のサービスをワンストップで提供できる等)がある銀行などの金融サービスの方が、WealthNaviさんなどの金融サービスよりも優位性があるようには思います。

このように考えてみると、「お金のデザイン」や「WealthNavi」さんが狙うのはかなり資産のある「富裕層」ではなく、もう少し中〜上流階級層、例えば大企業勤務のサラリーマンの方々などなのかもしれません。

ただ、そのような方々には、個人的にはオーナーズブック(OwnersBook)のような「不動産担保付きのソーシャルレンディング」の方が、投資商品としては低リスクではあるように思われますのでハマりそうな気はしています。

以前にも書きましたが、ソーシャルレンディングの主なリスクは事業者の破綻リスクと貸出先の倒産リスク(OwnersBookはサービス開始から0)ぐらいです。

ですので、信頼できそうな事業者があれば、かなり硬い投資商品になるのではないかと思っています。

ソーシャルレンディングに関するメリットやデメリットなどの詳細はこちら

フィンテックの会計サービス

会計

会計分野は、「企業や個人事業主の会計を助けるサービス(金融機関やクレジットカードの明細を自動で取得し、自動仕分けを行ってくれるサービスなど」とのことです。

日本の会計サービスの例

日本だとマネーフォワードやfreeeが有名です。

freeeさんは個人的にも使わせてもらっているのですが、本当に便利です。中小企業の経理の方は大分負担が軽減されたような気がします。

彼らのビジネスの良い点は「To Bのプラットフォーム」である点だと個人的に思っています。

また、年間契約なので一気に売上も上がりますし、使う側としてもスイッチングコストがあるので中々変えようと思いません。

そして更に会計データを元に融資分野にも参入してきているようで、今後ますます存在感のある企業となることは間違いないでしょう。

海外の会計サービスの例

海外のサービスについては、特にこれといって紹介したい企業が無かったのでご参考までにいくつかご紹介しておきます。

  • ニュージーランド:Xero
  • カナダ:Freshbooks
  • アメリカ:Wave、FreeAgent、zoho、Indinero、Outright、Expensify

ちなみにアメリカの4つ目の「Indinero」はこちらの記事が有名です。世界に目を向けると本当に凄い人は沢山いるように思います。では。