元銀行員の金融とテクノロジー雑記

主に金融とテクノロジー(フィンテック・ブロックチェーン・ビットコイン)、投資(株式・FX・不動産)を学ぶために書いているただの雑記。

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ブロックチェーンによる金融機関のコスト削減について思うこと。

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【2017年2月一部修正・追記】

本日は今更ですが、暗号通貨プラットフォーム「Zaif」とブロックチェーン構築プラットフォーム「mijin」を開発・提供するテックビューロ株式会社のCEOである朝山さんが書かれた記事をご紹介します。

jp.cointelegraph.com

全3話に渡って長文なのですが、「ブロックチェーン技術」に世界の金融機関が躍起になって取り組んでいる理由が分かり易く解説されており、良かったです。

そんなに知識がない方でもきちんと読めば大まかには理解できるかと思います。

推薦図書の追記(2017年2月)

ブロックチェーンに関しては2016年と2017年に名著が出ましたので、ご関心のある方はこちらを読まれることをお勧めします。

常々思いますが、このような新しいテクノロジーや物事について説明する際は、「分かり易さ」が非常に大事な要素な気がします。どんなに良いものであっても、それがきちんと人に伝わらなければ、それが価値を持つことは無いのでしょう。

ふと、コンサルの仕事の一つに「複雑な物事をシンプルにしてクライアントに伝える」ことがあると、イギリス人のパートナーが言っていたのを思い出しました。

金融機関のコスト削減に関して思うこと

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冒頭にご紹介した記事の気になった部分をご紹介します。

私は常に「金融機関の運営コストを2018年までに10分の1未満に削減する」とミッションを掲げていることを公言しておりますが、可能性としては100分の1未満への圧縮も夢ではないでしょう。

なぜなら、全てが暗号技術で構成されているブロックチェーン技術では、金融機関業務における様々なオペレーションにおいて、人力によって性悪説のリスク分散がなされている部分を、ごっそりと根こそぎ暗合署名などブロックチェーンの基本機能にて置き換えることが可能となるからです。

すなわち、同技術によって劇的に削減されるものにはシステムに関わる費用だけではなく、そこにはより膨大な人件費も含まれるからなのです。

ブロックチェーンについてはまた今度まとめて書こうと思っているので、今回は簡単にこのミッションについて思うところをまとめておこうかと思います。

1. 「テックビューロ」は今後も伸びそう

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まず、ビジョンの金融機関ウケ(多分金融機関に限りませんが)が良いので、テックビューロ株式会社は今後も伸びそうな気がします。

これは金融機関の経営コンサルをしていた時に感じたことですが、金融機関というのは観光庁と同じで「ちょっと変わりたいけど大きくは変わりたくない」存在です。

彼らは先進的な取り組みをすることよりも、失敗しないことの方が大切です。そして、彼らが唯一の頼りどころとするのは過去の事例であり、「誰かがやった事があるのでやりましょう」という判断を下すだけで、極力新しいことを先陣切ってやろうとはしません。これは銀行だけでなく損保など他の金融機関にも同じことが言えます。

一方で、いわゆる「コスト削減」は彼らの大好物なので、このようなビジョンに食いつく可能性は極めて高いと考えられます。

「規制」に守られている業界においては、無理して売上を伸ばしていくことよりも、今ある無駄を削減していく方が大切なのでしょう。

2. 先が見えている人の未来は驚くほど酷似している

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この金融機関のコスト削減に関しては、某コンサルティングファームの役員の方も同じようなミッションを持っていたことを思い出しました。

世界的にもブロックチェーンプロジェクトとして取り組みがなされている現状を考えると、恐らくこの「金融機関のコストが大幅に削減される」という事態は、来るべき未来であり、その未来の実現を誰が早めるかという話になる気がしてます。

このような考え方は、Metapsの佐藤さんの著書である「未来に先回りする思考法」に書かれています。少し抜粋しますと、

歴史的な変化を見るとそこにいた当事者が世界そのものを変えたように私達の目には映りますが、実際は彼らがやらなくても誰かがやったのは想像できます。その意味では彼らは「来たるべき未来」の実現を早めた、というほうが正確かなと思います。

Google、Amazon、Facebookなどの巨大IT企業の創業者達が考える未来像は驚くほど酷似しています。彼らは「いつ」それに取り掛かるのが良いかのタイミングの読み合いをしているとも言えます。社会・経済・技術・強み・資金などを総合的に勘案して、適切なタイミングで適切な事をする。

つまり、誰が・いつ 実現するかは最後まで解らないのですが、何が起きるかはおおよその流れが決まっていて、人が変えるのではなく、未来のほうが変えられるのを待っている、というイメージです。適切な手順と必要な条件を揃えた人間がその成果を手にする。 

これは例えば、「翻訳」などに置き換えると分かり易いかもしれません。

「ホンヤクこんにゃく」のような道具は、いずれ開発されることは皆さん容易に想像が付きます。つまり、いずれ実現されるであろう「来るべき未来」に皆さんは気づいてはいるのですが、分からないのは「いつ誰がそれを実現するのか?」ということだけです。

この金融機関のコストが削減されようがされまいが、直接的には消費者である僕らにはそんな関係ないことかもしれませんし、そんなに大きな衝撃はないかもしれません。

強いて言えば各種手数料が安くなってラッキーぐらいな気がしています。

また、個人的には多くのビットコインの熱狂的なファンが期待するような未来も訪れないかと思っています。

技術的には可能な未来であっても、人々の「感情」がついていかなければ、それは「来たるべき未来」にはなり得ないのだろうなと、ふと思いました。

3. 日本のフィンテックベンチャーが成功するポイント

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以前本ブログでこのようなニュースをお伝えしました。

カードBizと僕の勝手気ままログ: 10万人の行員失職

フィナンシャルタイムズが欧米の大手銀行11行を調査したところ、2015年に10%の行員が失職したことがわかった。その数は約10万人になる。

冒頭の記事でも、膨大な人件費削減につながるとのお話が出ていますが、日系企業の場合は首を切ることはできないので、恐らく企業側がいらない職を見つけては何とかするのでしょう。

現段階でも既に不要な人材というのは多数存在するかと思いますが、中々首を切れないのが現実です。

この人件費削減に関しては、以前このような記事もご紹介しました。

マッキンゼーの予測(フィンテックで銀行利益が6割減)と野口悠紀雄先生の見解

話題のフィンテックベンチャーが銀行の利益を食うという話です。こんな話をご紹介すると、ますます既存の金融機関に人がいらなくなりそうな気がしますが、僕はあまり日本には当てはまらないかと思っています。

この日本においては、野口先生が話しているように金融庁とメガバンクが強すぎるので、フィンテックベンチャーが既存の巨大金融機関を潰すことは無く、マッキンゼーが予想するように銀行利益が6割減になることも無いかと思っています。

日本のフィンテックベンチャーが成功するポイントがあるとすれば、それは金融庁やメガバンクとの協業であって、対立では無いからです。

むしろ、セブンやイオンや楽天などの他業種からの参入の方が、既存の金融機関にとっては遥かに脅威になる(というかなっている)と思います。

今度既にディスラプトされている日本のクレジットカード業界についてはまとめて書こうかと思いますので、それでは今日はこの辺で。