元銀行員の金融とテクノロジー雑記

主に金融とテクノロジー(フィンテック・ブロックチェーン・ビットコイン)、投資(株式・FX・不動産)を学ぶために書いているただの雑記。

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【財務初心者向け】固定費と変動費に関する誤解と損益分岐点売上高について。

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ふと今朝この記事が目に留まったので、今日は毛色を変えて「固定費」と「変動費」と「損益分岐点売上高」について書こうかと思います。

globis.jp

何となくですが、損益分岐点分析の数式をパッと見て理解できる方というのは、そもそも頭のできが違うように思いますので、今回は難しい数式を抜きに書くことにしました。

ちなみに財務初心者向けですので、知見のある方には役立たないかと思われます。

固定費と変動費の違い

冒頭の記事では下記のように書かれています。

小売業の例では、商品1個当たりの販売金額と商品代金(費用)が比例関係にあります。

 

このような、売上に比例して発生する費用を「変動費」と言い、売上に関わらず発生する費用は「固定費」と言います。

 

月額で発生する家賃や固定給料なども固定費で、売上が0であっても発生します。

固定費は、売上が上がろうが下がろうが関係なくかかる費用で、固定して毎月かかる費用のように捉えておくと良いように思います。

上記の例でも書かれていますが、例えば一人暮らしを例にとると、「家賃」が固定費に当たります。

ただ、ここで一つ注意しなければならないのは、必ずしも常に「家賃=固定費」とはならないという点です。

チェーン店の例

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例えば、カフェチェーンのA社について考えてみます。

現在10店舗のカフェを、誰かから借りて、賃貸で経営しているとします。

そうすると、当然ながら20店舗、30店舗と増えていくにつれて、売上も増え、その家賃も増えていきます。

その場合、A社にとって、「家賃」は売上に比例して発生する費用となりますので、店舗の「家賃」は変動費となります。

要は、「どの視点から見るか?」によって変わるということです。

A社の社長にとっては、店舗の家賃は変動費として捉えることもできますし、1店舗の店長にとっては、店舗の家賃は固定費として捉えることができます。

ですので、常に「家賃=固定費」になる訳ではありません。

保険会社の例

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これは「給料」についても同じことが言えます。

例えば、保険の販売額の10%を給料としてもらえる保険会社のB社があったとします。

その場合、営業社員のCさんが1000万円の保険を売った時は100万円の給料が支払われますが、2000万円の保険を売った時は200万円の給料が支払われます。

これを会社側から見た時、給料は売上に比例して発生する費用となりますので、「変動費」となります。

ですので、給料に関しても、常に「給料=固定費」になる訳ではありません(なので、冒頭の記事も「固定給料」という言い方をされているのかと思います)。

当たり前のことかもしれませんが、何となく「家賃=固定費」「給料=固定費」のように覚えている方が多い印象でしたので、書いてみました。

固定費や変動費の例を暗記して覚えるのではなく、そもそもの言葉の意味を覚えた方が良いのでしょう。

損益分岐点売上高とは?

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例えば、1杯1000円のコーヒーを売るカフェがあったとします。

コーヒーの原価はコーヒー豆代など全て含めて300円だとします。その場合、コーヒーが1杯売れると700円の利益が出ます。

ですが、これを仮に1杯200円で売ってしまうと、100円の赤字になります。つまり、300円よりも高く売らないと利益が出ません。

この場合、この300円という値段が、カフェにとっては損益が分岐する販売価格(損益分岐点)となります。

ただ、現実問題として、そのカフェが持ち家で家賃がかからなかったとしても、コーヒーを売る人の給料などは発生します。

そこで、毎月の収支を考えてみることにします。仮に、毎月コーヒーが500杯売れて、毎月のカフェの売上が50万円になるとします。そうすると、費用はコーヒーの原価300円×500杯の15万円です。

給料などの他の費用を勘案しなければ毎月35万円の利益が出ますが、仮に毎月の給料が35万円だとすると、ちょうど毎月のカフェの損益はトントンになり、以下のような状態になります。

  • 売上=50万円
  • 原価=15万円(変動費)
  • 給料=35万円(固定費)

このような状態の時の売上高が、損益分岐点売上高となります。要は、損益がトントンになる際の売上高です。これよりも売上が上がれば、どんどん利益が出るという話です。

この損益分岐点売上高は、「いくら売上をあげれば利益が出るか?」を考える際などに用いる指標の一つです。

損益分岐点分析の数式などの詳細について知りたい方は、冒頭のGlobisさんの記事や、下記のMoneyforwardさんの記事などが分かり易いのでご参照下さい。

biz.moneyforward.com

銀行員の財務分析スキル

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以下余談ですが、以前銀行にいくと財務分析スキルが身につくみたいな記事を書きました。

ですが、多分エクセルでビジネスケースなどを作ってるコンサルタントや投資銀行員の方が、よっぽどミリミリした事業計画を作れるようになる気がします(コンサルの場合はそのようなビジネスケースを作るプロジェクトに入った場合はですが)。

ふとこれについて思い出したのは、先日銀行時代の同期が銀行員のキャリアについてこんなことを書いていたからです。

初めに厳しいことを言えば、スキルを評価されて他業界へ転職することは難しいでしょう。
 
ひとえに銀行員の仕事というのは汎用性がないからです。
 
大企業であるが故に、自家製のアプリケーションが充実しており、Excelやパワーポイントを使うこともなければ、自ら調査をする必要もありません。

確かにそうかもなぁと思ってしまいました。

銀行員の財務分析というのは、中小企業の場合、お客さんからヒアリングした結果(次年度の売上見込みはいくらです等)をそのまま稟議に書いていることが多いので、もはや分析とは呼べないのかもしれません。

もちろん人によっては高度なスキルを持っているとは思いますが、すでにそのような危機感を感じられている方は、早めにハイクラス向けの転職サイトなどにレジュメを登録してヘッドハンターなどと相談した方が良いように思います。

財務分析に関する推薦図書

最後は少々話がそれましたが、財務分析にご関心のある方は、こちらの本がきちんと説明されており、知識ゼロの財務初心者の方にも分かり易いのでお勧めです。