金融とテクノロジー雑記

勉強になった本の感想など

購入型クラウドファンディングとは?市場を制するのは大企業?

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ソーシャルレンディングやクラウドファンディングについては以前少しご紹介しましたが、最近クラウドファンディング関連の気になるニュースがあったのでまとめて書こうかと思います。 

日本で主流のクラウドファンディング

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日本では購入型と呼ばれるクラウドファンディングが主流です。

まず、クラウドファンディングとは、新たな商品やサービスを開発するために、オンライン上で必要な資金を調達する仕組みです。

そして、購入型クラウドファンディングというのは、出資者はお金を支援する代わりに、その対価として商品やサービスなどをもらえるクラウドファンディングです。

詳細についてはこちらの記事をご参照下さい

朝日新聞がクラウドファンディングに参入

techable.jp

昨年、朝日新聞も購入型のクラウドファンディングサイトを作成し、話題になりました。 

個人的には大企業が参入してきたことで、既存の事業者は凄い嫌だろうなぁと思っていたところ、先日こんなニュースが流れてきました。

Makuakeの大企業向け支援施策

jp.techcrunch.com

「Makuake」はサイバーエージェントグループが運営するサイトで、サービスのローンチ自体は「Readyfor」や「Campfire」よりも後発にも関わらず、現在ではそれらと並んで有名なサイトになっています。

彼らが少し前から始めた「Makuake Enterprise」では、企業の新製品開発サポートを目的とし、以下の3つを提供しているようです。

  1. 新製品の販売戦略立案サポート
  2. クラウドファンディングプロジェクトページの作成代行(テキスト制作・動画制作・画像制作)
  3. 新製品のマーケティングレポート作成

クラウドファンディングを用いた新製品のPR効果は高いように思いますし、お金を集めたい個人だけでなく、大企業をも顧客としている点が非常に上手い戦略のように思いました。

購入型クラウドファンディング事業者の今後

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購入型のクラウドファンディングは、参入障壁が低いので、スタートアップが参入しては消えていっている印象があります。

この分野は、サイバーエージェントや朝日新聞などの大企業の方が、メディアとしての発信力が強いので圧倒的に有利なのでしょう。

また、現在日本のクラウドファンディング事業者の手数料は約20%と、欧米の5~10%程度と比べてはるかに高いので、いずれ是正されていくように思います。

そうなった際に、市場自体は拡大傾向にあるものの、小規模の購入型クラウドファンディング事業者が生き残っていくのは、どんどん難しくなっていくと個人的には予想しています。

他の大企業が参入する際に買収されるのか、他社と事業提携するのか、それとも事業自体を変えるのか、そろそろ大きな動きが出てくるように思います。

中国向け越境クラウドファンディング

tsuhan-ec.jp

ちなみに、つい最近ではこのようなクラウドファンディングサイトも登場したようです。「Crowd Fab」は「中国人が日本人を応援する」ことに特化したサービスで、Made in Japanの商品を中国に届け、日本メーカーの中国進出を支援するようです。

若干政治リスクがあるような気がしないでもないですが、このように特定の領域に特化するのは、まだ日本ではありなのかもしれません。

クラウドファンディング分析レポート

blog.otakumode.com 

また、先日東京オタクモードさんがこんなレポートを書いていました。海外のクラウドファンディングにご関心のある方はご参照ください。

ちなみに初心者向けにはこちらの本が分かりやすいのでお勧めです。

クラウドファンディングの推薦本

海外のサイトで有名なのはこの「Kickstarter」と「Indiegogo」ですが、「Kickstarter」は審査制であるのに対し、「Indiegogo」は誰でもすぐに始めることができます。

ただ、「Indiegogo」はプロジェクトがあり過ぎるので、あまりに無名の場合は埋没してしまうことが多いです。使用されるならサイトや本にも書いてあるようにしっかり準備してから取り掛かるのが良いのでしょう。

ちなみに以前ファクトムイーサリアムの記事を書いた際に、クラウドセール(ICO)という新しい資金調達手法をご紹介しました。

もしかしたら今後このクラウドファンディングというビジネスモデル自体がクラウドセールのような概念によって破壊される可能性もあるのかもしれませんが、それはもう少し先の話のような気がします。

それでは今日はこの辺で。