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フィリップフィッシャー本の感想 | 投資哲学を作り上げる 保守的な投資家ほどよく眠る

フィリップフィッシャー本の感想

フィリップフィッシャー本の感想

フィリップフィッシャーの本「投資哲学を作り上げる/保守的な投資家ほどよく眠る」を久しぶりに読み直したので、感想を書いておきたいと思います。

本書は「投資哲学を作り上げる」の章と、「保守的な投資家ほどよく眠る」の章に分かれて記載されています。

投資にも経営にも、会社で働く際にも役立つような本な気がしました。

会社が成功するためには?会社に関わる人間の質の重要性

本書の前半では、会社が成功するには会社に関わる人間の質も大切だという話が出てきます。この「質」という言葉には、以下の2つの意味が含まれています。

  1. 事業の能力
  2. 誠実さ(会社を経営している人間の正直さと個人的な良識)

そしてこの1の事業の能力は、さらに二つの異質なスキルに分類されます。

  1. 業務における日々の仕事を平均以上の効率で処理していく能力
  2. 先を見越して、事業が将来的に大きく成長しながら、悲劇となりかねない財務的リスクも同時に回避できる長期的な計画を立てる能力

 1. の効率よく処理していく能力というのは、以前ご紹介した生産性の話と通じるものがあるなと思いました。成長とは「生産性が上がること」という話で、当然組織としては高い生産性をもつ人間が多いほど効率良い事業運営ができることでしょう。

一方で2の能力というのは、高度なスキルのように思われます。言われたことを効率よくこなすのではなく、様々な外部的・内部的な変数を考慮しながら、ロングスパンで物事を考え抜く必要があります。

100%正確な予測はできないとしても、精度高く来るべき未来を踏まえて計画を立てることで、打ち手が後手後手にならずに行えます。そのまま何もしないということは「停滞」であり、事業を継続して利益を出していくということは、毎年何かしらの新しい挑戦をし続けているということでもあると言えるでしょう。

人の視座はどうしたら上がるのか

最近「人の視座」について考えることがあったのですが、どうしたら「人の視座」は上がるのかを考えてみました。

例えば、「本を読む」というソリューションも考えられます。もちろん読書も大切かとは思うのですが、結局のところ「経験」を通じてしか、本当に「知る」「分かる」ということはなかなかできないのではないかなと個人的には感じています。

似たようなことはメタップス佐藤氏の本にも書いてあったような気がします。

そこで例えば、以下の3つのような経験は、人の視座が上がるきっかけになるのかなと考えました。

  1. 会社で役職が上がる
  2. 会社を経営する
  3. 投資家になる

会社で役職が上がる

会社で「役職」が上がるというのはわかりやすい気がします。これは言ってしまえば「ポジションが人を育てる」という考え方です。

マネージャーになった気持ちで、経営者になったつもりで働いてくれという考え方は、正直なかなか難しいように思います。心の持ち用よりも、強制的に外部環境が変わることの方が、人が変わるきっかけになるからです。

先に「役割」を与えてしまった方が、人は責任感を感じ、行動も変わるだろうという考え方の方が個人的にはしっくりきます。もちろん、その大事なポジションを任せる人はきちんと選出する必要があります。

そして、任せる前にも十分に吟味しないといけないわけですが、期待値も込めて任せることで、人は変わる可能性があるということです。

会社を経営する

次に考えられるのは、小さくても良いので自分で会社を経営することじゃないかなと感じています。

また、会社経営も一人でやるのではなく、誰かしらの従業員を雇うと、さらに人は変わる気がします。自分一人だけのことではなく、誰かの人生について考える経験がある方が、より視野が広がるのではないかなと感じているからです。

ただしこの方法は一つの会社に会社員として所属していると、副業OKなどの会社でない限りは難しいように思いますし、なかなか両立も困難かもしれません。

投資家になる

そこで最後に、投資家になるというのも一つあるのかもなと思いました。

簡単な方法は、株式投資などをしてみることでしょう。その会社の将来性を「真剣」に考える経験が、視座を上げる一つのきっかけになるようにも思うからです。

一つの会社の将来性を分析するに当たっては、市場や業界、競合を分析したりするスキルや、財務諸表を読む力以外にも、様々な観点が必要になってくるでしょう。

例えば、サービスを出しているのであれば、そのサービスを分析することも必要ですし、経営陣を確認した時に、この人は本当に信頼できるのだろうか(今後も事業を伸ばしていく意欲があるのだろうか)や、これまでの経歴から今後こういうことができそうだなと読み取れるかどうかなども、重要な観点になるように思います。

少し考えてみて、色々と視座をあげる方法はあるにせよ、結局のところは、どれだけ真剣に考えて自分で意思決定したかという、意思決定の数が人を成長させるのかもしれないなとも思いました。

保守的な投資の対象となる会社とは

少々話がずれてしまいましたが、「保守的な投資家ほどよく眠る」の方の章では、保守的な投資の対象となる会社について紹介されています。

個人的に印象に残ったのは要素2の部分です。

宣伝文句ではなく、事実に基づいた意識的かつ継続的な努力を行い、新人のブルーカラーやホワイトカラーの労働者から経営陣の上層部に至るまで、あらゆるレベルの従業員が自分の働く会社について良い職場であると感じさせることが必要である

こういう取り組みはGAFAなどの企業はやっていそうな気がします。

最近ドリームインキュベータが運営するVenture Naivというメディアでアカツキの塩田社長のインタビューを読んでいたのですが、そこでも同じようなことが違う観点から記載されていました。

幸せそうにしている経営者の話に共通していたのは、「いかにビジネスモデルが優れているか」といった話を一切しないこと。

むしろ、「良い会社とは何か」「良い人生とは何か」という答えのない問いを、当たり前のように考え続けている人が多かったんです。

「良い会社は社内の雰囲気がいい」といったことや、「良い人生は外の何かを手に入れることではなくて、自分がどんな状態でも幸せだと感じられるようになることだ」など。

良い会社とは何かということを従業員視点で考えた場合、「社内の雰囲気が良い」といったことは一つの答えになるのかもしれません。

一方、投資家目線で考えた時にも重要な要素となるというのは、確かにその通りだなと感じました。このような情報は財務諸表からは見れませんが、フィリップフィッシャーは重要な要素の一つとして捉えているようでした。

これらは最近ではvorkersなどの転職サイトの口コミである程度は調べられるような気はしますし(退職者のバイアスなどがかかっているかもしれませんが)、投資前の参考にはなるのかなと思った次第です。