元銀行員の金融とテクノロジー雑記

主に金融とテクノロジー(フィンテック・ブロックチェーン・ビットコイン)、投資(株式・FX・不動産・仮想通貨)を学ぶために書いている雑記

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お金2.0と投資家がお金よりも大切にしていることを読んで、仮想通貨を振り返る

読書

2017年はメタップスの佐藤氏の「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」が話題でした。

それに伴って前々から気になっていた、ひふみ投信の藤野氏の「投資家が「お金」よりも大切にしていること」を今更ながら読んだので感想をメモしておきます。

個人的には、非常に面白かったのでおすすめです。

日本人はお金そのものが好きだった

家系の金融資産

画像出典:家計の資産構成日米欧比較

よくお金の話になると、日本人の家計の金融資産の話が出てきます。2017年には1800兆円を突破したようです。

本書でも指摘されていましたが、日本人の金融資産には現預金の割合が多いことからもわかるように、一般的に日本人は「お金そのもの」が大好きな国民性なようです。

加えて本書によると、欧米と比べると日本は「寄付」をしない文化のようです。確かに言われてみれば、日本人に「寄付」の文化はあまりないように思います。

仮想通貨のICOは寄付なのか?

ちなみに、一部では「ICO」についても、投資した金額が企業の売上に計上されることから「寄付」と捉える意見もあるようです。

ですが、やはりICOはあくまで儲かる可能性があるから多くの人は参加するのであって、参加している側にはあまり「寄付」の意識はないでしょう。

お金よりも信じられるものや大切なことはあるのか?

なお、本書で何度か出てきたのは下記の2つの質問です。

  • あなたには、「お金」よりも信じられるものがありますか?
  • あなたには、「お金」よりも大切なことがありますか?

これはかなり人の本質をついた質問のように思えます。

最終的に「お金」よりも信じられるものがなくなってしまったり、「お金」よりも大切なことがなくなってしまった場合、その人生が楽しいのかどうかは正直わかりません。

お金2.0 新しい経済のルールと生き方

お金

続いて、メタップス佐藤氏の「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」についてですが、本書は前作の「未来に先回りする思考法」と内容がかぶる部分もありました。

なので、そちらの本を読んだことがある人には、内容がすっと入ってきやすいかもしれません。

本書では、価値は「有用性としての価値・内面的な価値・社会的な価値」という3つに分類することができるという話や、価値主義の話が出てきます。

今までマネタイズしにくかったような「価値」が、インターネットやSNSなどによって、簡単にお金に転換できるようになった、というような話だったかと思います。

僕自身も、時折「インフルエンサーになりたい」と言ったような話を聞くようになってきましたので、「SNSのフォロワー数を増やしたい」みたいな人は今後も増えていくように思います。

生きる世界を選べるし、仮想通貨を持つのも持たないのも自由

お金2.0では、人は新しい「価値主義」の世界に入ることも選べるし、そのような価値観が嫌でも、今ある「資本主義」の世界に戻ることもできるという話が書かれています。

例えば、仮想通貨に関しても、ビットコインを買って仮想通貨の世界に入ったことで人生が変わった人や、世界が広がった人も多くいることでしょう。

一方で、ずっと仮想通貨を持たなくても生きてはいけるでしょうし、その選択は個人の自由です。

仮想通貨を持つかた持たないかは選択できますので、既存の「資本主義」の世界が好きな人は、そこに留まる選択をしても良いのでしょう。

他の国と比べて、もともと多くの日本人には色々と選ぶ「選択肢」がありますので、こういう点は日本社会の恵まれているところのようにも思います。 

日本人の高齢者に人気な「投資信託」の本質とは何だったのか?

投資信託は、シニア層の孤独を埋めているビジネスだと見ることができるからです。

話は戻りまして、「投資家が「お金」よりも大切にしていること」では、上記のような指摘がありました。

僕も以前銀行で働いていましたので、本書で出てくるこの一節は非常に頷けるものでした。

どんなにたくさんお金をもっていても、やっぱり話し相手がいないと、人は「寂しさ」を感じてしまうのではないでしょうか。

シニア層の孤独を埋める金融商品が投資信託

お金が余っているシニア層は、投資信託を必要だから買うのではなく、銀行員と話すことで「心の寂しさ」を埋めようとしているというのは、鋭い指摘です。

どんなにロボットやAIが発達したとしても、対面で誰かと話したいニーズというのは、消えないものなのかもしれません。

いずれ家の中でAIと会話ができるようになったとしても、本当にそれで「孤独」が解消されるのかというと、若干の疑問が残ります。

これについては「お金」も同じでしょう。

どんなに「お金」をもったとしても、友人が一人もいなくて、家族もいなかった場合、なかなか「幸せ」にはなれないのではないでしょうか?

会社の価値とは何か?

「会社の価値」を考える際、経営の教科書的には、キャッシュフローの現在価値をもとに算出する「事業価値」と「金融資産」を足して、「企業価値」というものを求めます。

 

しかし、このようなことを言われても、あまり腑に落ちないと思います。

 

それよりも、会社の価値というのは、人の生々しい営みの結果であると考えるほうが納得できるのではないでしょうか。

 

つまり、会社を取り巻く全ての人たちの思惑と行動によって、会社の価値はつくられている、と考えるほうが、会社に対して正しい付き合い方ができるように思います。 

続いて本書では、「会社」の価値についての話が出てきます。

僕はこの文章を読んだ時に、ふと仮想通貨の価値のことを思い出しました。

仮想通貨の本質的価値とは何か?

仮想通貨

仮想通貨の本質的な価値については、諸説あるようです。

ビットコインであれば「PoWの仕組み」「開発力」「対検閲性」などなど色々あるようで、人によってこれが一番重要だ!というものが違うようです。

個人的には、もはや一つや二つには集約できないものだと考えています。

その仮想通貨のユーザー数、(PoWなら)その仮想通貨のマイナー数、その仮想通貨を取り扱っている取引所数、その仮想通貨の決済を受け入れる店舗や企業数、技術力の高い開発者数など、複数の要素が絡み合って価値に繋がっているのではないでしょうか。

そしてそれらの数が増えれば増えるほど、その仮想通貨の価値は上がっていくとは思われますが、どれか一つだけで説明しきることは、もはや難しくなっているように思います。

PoWが価値の源泉という考え方

例えば、PoWが価値の源泉であるという考え方には一理ありますが、BTCNのざきやまさんの記事に記載されているように、違った視点から考えることもできます。

さらに仮説として、経済学的なセオリーから、マイニングによる通貨発行のコストがその価値に反映される、という主張があります。

 

これも誤りだと私は考えています。そのコスト自体は、なんら価値を持たないというセオリーもまた展開することができるからです。

 

要するに、ユーザーのソフトウェアと異なるソフトウェアを動かすマイナーの消費したコストが、その別のソフトウェアによって掘られたコインの価値になると本当に言えるか、ということです。

 

ユーザーのソフトウェアは自動的に、何もせずともマイナーの仕事やコストを無視することでしょう。このコストが、ユーザーが使用するソフトウェアのコインの価値に反映されるはずがありませんよね?

出典:「ビットコインは教訓を得て前進していく」

仮想通貨の開発力が一番大切という考え方

他にも、開発力が一番大事だとした場合、例えば下記のような事例を考えてみます。

  1. 開発力が高くて機能が凄いけど、日本人はあまり使っていないWechat
  2. 開発力は普通で機能も普通だけど、日本人の多くが利用しているLINE

仮にこの二つがあった時、まだSNSを持っていない日本人は、どちらのSNSを利用するのでしょうか?

多分それは後者の「LINE」なのではないでしょうか?なぜ後者を選ぶかというと、周りの日本人みんなが使っているからです。

これはマークアンドリーセンが2014年に指摘した、ビットコインの「ネットワーク効果」の例だとも思います。 

当然仮想通貨の開発力はあった方が良いのですが、それだけが「価値の源泉」となることは、これだけ仮想通貨が広まってしまった現代においては、多分もうないのではないでしょうか。

今現在LINEが使われているのは、開発力に加えてマーケティング力や色んな要素が組み合わさったからかと思われます。 

仮想通貨の価値も、複合的な要素からくる?

以上のように、「この会社の本質的価値とはなんですか?」という質問に対して「これです」と一言では答え辛いように、「この仮想通貨の本質的価値とはなんですか?」という問いに対しても、「これが一番重要です」と一言では答え辛いです。

そのため、個人的には仮想通貨の価値も、かなり複合的な要素からくるものなのかなという気がしています。

仮想通貨リップルの価値に関して

リップル

2年ぐらい前に「リップル」に関する記事を書きました。

書いた内容が古くなっていて現在とあまりマッチしていませんが、当時はリップルが今のような状況になるとはあまり想像していませんでした。

例えば、当初リップルを購入する場所は、リップルエクスチェンジ東京などのゲートウェイでしたが、現在では仮想通貨の取引所に、他の通貨と同列でリスティングされています。

一方で、僕は特定の仮想通貨を支持する人ではないですが、リップルは今も昔も変わらず「PoWの仕組みもない中間通貨に価値はない」という批判をされています。

しかし、価値がないにも関わらず、なぜその価格が上がっているのかを考えると、やっぱりXRPを欲しいと思う人がいるからです。

個人的には「〇〇には懐疑的」というスタンスよりも、なぜその価格が上がっているのか?を考えた方が良いのかなとは思います。

XRPの価格に関して

XRPの性質を完全に無視しても、例えば下記のように考えることはできます。

  1. 成功しそうなスタートアップA社が発行する、Aコイン
  2. 失敗しそうなスタートアップB社が発行する、Bコイン

上記二つがあった時に、そもそもそのコインを保有したいと思うか?、そして保有するとしたら、どちらのコインを保有したいと思うか?を考えて見ます。

そうすると、もし保有すると決めた場合、多くの人はAコインを選ぶのではないでしょうか?

失敗しそうな企業よりも、成功しそうな企業の方が良さそうという理由からです。

そして、次に下記の2つの状況を考えてみます。

  1. A社が成功するかどうか良くわからない時
  2. A社がめちゃくちゃ成功することがほぼ確定した時

この二つの状況を考えてみると、どちらの時がコインの価格は高くなっていそうでしょうか?

これを考えると、多くの人は②「A社がめちゃくちゃ成功することが確定した時」を選ぶのではないでしょうか。

ここまで単純化してしまうと極端ですが、要は「成功しそうな企業が発行する仮想通貨」という情報だけで、そのコインに価値がつく可能性も十分あるということです。

このメカニズムは上記でご紹介したような複合的な要素よりもシンプルで、企業の成長性や将来性に投資をする、株式投資のような感覚に若干似ているのかもしれません。

実際にこれまでの仮想通貨やトークンの価格上昇要因を振り返ってみると、「好材料ニュース」が発表されると価格が暴騰するという歴史があります。

極端なことを言ってしまえば、そのコインの用途がなんであれ、そのコインのシステムが(PoWでもPoSでも)なんであれ、その仮想通貨に関する「好材料ニュース」が発表された場合、その仮想通貨の価格は上昇する可能性は高いのかもしれません。

日本に明るい未来はあるのか?日本は仮想通貨大国になるのか?

日本

最後に、個人的には、日本は仮想通貨大国というより、仮想通貨投資(投機?)大国になるのではないかと考えていますし、そっちの方が日本には向いているんじゃないかなとも思っています。

考えてみれば、新しく生まれた「暗号通貨」の数を発祥国別に見たら、モナーコインなどがありますが、日本初は多くはないでしょう。

また、2015年ごろからビットコインやブロックチェーンのプロジェクトが世界中で数多く生まれ始め、2017年にはICOバブルという単語も出てくるほど盛り上がりましたが、日本人のICOの数も、規制の問題はあれど国別で見たら多くはなかったでしょう。

では日本では何が乱立したのかというと、仮想通貨の取引所、仮想通貨のウェブメディア、仮想通貨の特集雑誌などです。

日本は緩やかに衰退していくのか?

そんな中、先日NewsPicksでメタップスの佐藤さんは「日本は緩やかに衰退していく」と予想をされていました。

完全に日本が「やばい」状態にならないと、中々この状況は変わらないとの意見でした。

確かに、20年間同じ会社に勤めてきた人が今から変われるか?と言ったら、多分多くの人は変われないことでしょう。

しかし一方で、「投資家が「お金」よりも大切にしていること」には、こんな一節も掲載されていました。

もしあなたが、日本の未来、そして自分の将来にあまり希望が持てないのだとしたら、その原因がどこにあるか、一度冷静に考えてみてほしいと思います。

 

漠然とした閉塞感の正体は、「ネガティブメッセージに毒されていただけ」という可能性があるからです。

 

そのメッセージの内実を解像度を上げて見ていくと、「失われた20年」みたいにじつは大ウソだったり、たいした根拠のない、ただの思い込みだったりします。

 

親や教師からの刷り込みかもしれないし、世間が騒いでいるだけの決めつけかもしれない。

 

単純に、学校にしろ会社にしろ、自分のまわりにいる人間が前途に希望を持っていないから、それに引きずられてしまっているだけ、と言う可能性もあるでしょう。

 

私は、日本の未来に対してきわめて楽観的に捉えています。日本の先行きは暗い、とも思っていないし、経済がダメになるとも考えていません。

 

それは、ひとりの投資家として、全力で生きる多くの人を間近で見てきたから、そう言えるのかもしれません。

 

真面目で、成長している会社を主に見ているので、未来は暗いと思うことのほうが、むしろむずかしいくらいです。 

日本の未来が暗いと言う人は、あなた自身が日本の未来を暗くしている、自分の将来を悲観的に感じている人は、あなた自身が自分のことを信じていない、ということのようです。

藤野氏の「投資家が「お金」よりも大切にしていること」は全体を通して非常に示唆的で、勉強になりました。

佐藤氏の「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」と合わせて本書も読んでみると、またお金や仮想通貨に対する新しい見方ができて面白いんじゃないかと個人的には思います。