金融とテクノロジー雑記

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ソーシャルレンディングの特徴は?金融商品における位置づけを解説

ソーシャルレンディング

当初2016年に「日本で流行るであろう金融サービス」として「ソーシャルレンディング」を紹介したのですが、周りの評判を聞く限り正直2016年時点ではそこまで流行っている感じはありませんでした。

2017年時点ではインターネット上では多くの記事を見かけるようになったり、ソーシャルレンディング比較サイトが立ち上がったりしましたので、こちらの記事の内容を一部更新いたしました。

ソーシャルレンディングの概要

ソーシャルレンディング

皆さんは「ソーシャルレンディング」をご存知でしょうか?

以前オンライン融資の記事でもご紹介したことがありますが、英国では2005年にサービスが始まり、米国では2015年に時価総額1兆円企業が誕生するほど、金融先進国では流行りまくっている金融サービスです。

日本では2008年にManeoという事業者が初めてソーシャルレンディングサービスを始めました。

そして最近では「クラウドファンディング」というインターネット上で資金調達ができるサービスの知名度向上に伴い、「融資型クラウドファンディング」や「投資型クラウドファンディング」とも呼ばれるようになってきました。

ソーシャルレンディングとは融資仲介サービス 

ソーシャルレンディングとは簡単にいうと、『ネット上でお金を借りたい人や企業』と、『ネット上でお金を貸したい人』を結びつける融資仲介サービスです。

一般的に皆さんがイメージされる「クラウドファンディング」との違いは、融資である点です。要は、借り手はお金を返さないといけないということです。

ですので、当たり前ですが借り手がお金を返しますので、貸し手は当初出資した金額以上のリターンを得ることができます。

ソーシャルレンディングと購入型クラウドファンディングとの違い

一方、日本の「クラウドファンディング」の多くは、「購入型クラウドファンディング」と呼ばれるサービスです。

購入型クラウドファンディングでは、資金の出し手は、お金を出した対価として「物やサービス」などのリターンを得ることはできますが、当初出資したお金以上の金銭的なリターンを得ることはできません。

ソーシャルレンディングは日本で流行る

僕は中長期的には「ソーシャルレンディング」は日本でも流行ると考えています。

なぜ流行るかのかを端的に言えば、漸く日本にもFinTechブームが到来したので、それに便乗するはずだからです。

また、そもそもソーシャルレンディングの金融商品自体のポテンシャルがあるからです。

ソーシャルレンディングのメリットは?

メリット

ソーシャルレンディングには、主に以下のようなメリットがあります。

  • 1万円程度の少額投資が可能で敷居が低い
  • 数ヶ月単位の短期での運用が可能
  • 5〜10数%ぐらいの高利率
  • 一度投資してしまえば放っておいて良い

もちろん一方で、ソーシャルレンディングにも下記のようなリスクはあります。

  • 借り手の倒産リスク
  • ソーシャルレンディング事業者の倒産リスク

ですが、今のところはどのソーシャルレンディング事業者においても、借り手の倒産率(デフォルト率)は、ほぼ0%です。

なぜほぼ0%なのかというと、ソーシャルレンディング事業者が、資金の借り手をきちんと審査するので、倒産率が低くなっているのです。

当たり前ですが、倒産しそうな会社にお金は貸さないですよね?ですので、ソーシャルレンディング事業者も、資金の借り手に関しては良く審査して融資を実行しています。

また、全案件不動産担保付きの不動産投資型クラウドファンディングサービスを提供するOwnersBook(2017年にマザーズに上場)の場合は、お金を貸す際に不動産担保をとりますので、最悪借り手が倒産しても、担保の不動産を売却できたりもします。

担保の不動産を売却できるということは、お金を出した皆さんの元にもお金が戻ってくる可能性が極めて高いということです。

個人的には、このポイントだけを勘案してもOwnersBook硬い投資商品だと思います。

そして、このソーシャルレンディングという金融商品は、もの凄く日本人の特質に合っているとも思っています。

金融商品マッピングにおけるソーシャルレンディングの位置付け

金融商品のマッピング

利率の数字は大体ですが、代表的な金融商品をマッピングするとこんな感じになるかと思います。

このマッピングに関しては、「金とか先物とか仮想通貨とか他にも色々あるよ」みたいな意見などもあるとは思うのですが、とりあえずざっくりイメージを持ってもらいたいのでこんな感じにしております。

何が言いたいかというと、ソーシャルレンディングは「リスクは限りなく低いにも関わらず、ミドルリターンが得られる唯一の金融商品」であるということです。

ここまで話してきて、「じゃあ何で日本で流行ってないの?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。

それはズバリ言ってしまえば、主要事業者のマーケティング戦略が上手くいってないからだと思います。

日本の主要なソーシャルレンディング事業者の比較

ソーシャルレンディング事業者比較

募集実績は11月時点で、こちらの記事を参考に作成しましたが、どの事業者も少人数で大規模な金額を取り扱っていることが分かると思います。

しっかりした純資産の基盤を持ち、毎年サービスを拡大しています。

こちらの比較表を見ると、クラウドバンクが唯一「第一種金融商品取引業」を取得していることがわかります。

クラウドバンクはもともと証券会社を買収したことで設立された企業ですので、「第1種金融商品取引業」を取得している訳ですが、それだけ金融庁の厳しい目の元に経営されている企業と評価することもできます。

しかし、残念ながらどの事業者も、自社のサービスが急激にスケールするようなマーケティングは実施してないように思われます。

ロボアドバイザーサービスに関して(2017年追記)

2017年になって振り返って見ると、2016年は「ソーシャルレンディング」ではなく、むしろ「ロボアドバイザー」の方が、世間ではフィーチャーされた年だったように思います。

ロボアドバイザーサービスではテオやウェルスナビが有名ですが、確かに最近のメディアの取り上げ方を見ると、完全にコンピューターに資産運用をお任せできる「ロボアドバイザー」は時代に合っているような気もしますし、今後も順調に伸びていくように思います。

ソーシャルレンディングの場合は、ソーシャルレンディング事業者の提供するファンド案件の中から、どの案件に投資するかを自分で選ぶ必要はあります。

一方、ロボアドバイザーの場合は、簡単な質問に答えるだけでコンピューターが最適な資産運用を提案・実行までしてくれます。

要は、多くの人はソーシャルレンディングの投資案件を選ぶのすらめんどくさいので、全てをお任せできるロボアドバイザーサービスが良いと判断する人が多かったということでしょう。

ソーシャルレンディングはどうしても投資色が強く残ってしまっているので、WealthNaviなどのロボアドバイザーサービス(要は投資信託っぽい金融商品)の方が、日本人にはウケやすいのかもな〜とは思った次第です。

いずれにせよ2017年も引き続き上記のようなソーシャルレンディングやロボアドバザーなどの資産運用領域のFinTechサービスはウォッチしていきたいと思います。

米国Wealthfront & Bettermentと日本のロボアドバイザーWealthNavi比較の記事はこちら