以前こんな記事が出ていたのはご存知でしょうか?
銀行の利益が6割減、フィンテックがもたらす破壊的影響|野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて|ダイヤモンド・オンライン
恐らく僕のブログを読んで下さる方であれば、この記事を読まれた方も多いと思うのですが、この記事を書いている「野口悠紀雄」先生のコメントを昨日見かけたので紹介しようかと思います。
その前に、野口悠紀雄先生って誰?
Wikipediaから引用します。
野口 悠紀雄(のぐち ゆきお、1940年12月20日 - )は、日本の元官僚、経済学者。
専門は、日本経済論、ファイナンス理論。
一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学教授を経て、早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。
とのことです。
ちなみにこちらの本が野口先生が「仮想通貨」に関して書かれた本で、個人的に2014年に読んだ本で一番面白かった本です。
仮想通貨の情報は日々アップデートされるので若干内容が古くなってきているかもしれませんが、それでも名著かと思います。
FinTech革命でも日本の銀行は死なない
野口悠紀雄先生のフィンテック講義 | 日本デジタルマネー協会 / ビットコイン / Bitcoin
冒頭の野口先生のコメントの話にもどり、こちらの講義自体は11月にあったようなのですが、その簡潔な書き起こしがあったのでご紹介します。
以下、引用しながら考えてみます。
9月のマッキンゼー報告では、フィンテックスタートアップにより、今後10年で、銀行の利益60%、売上40%が失われると推測されている。
米国には、大規模フィンテック企業が複数あるのに、日本におけるPayPalは地味だし、フィンテック企業は小粒である。なぜ、この様な状況になっているのか、野口先生は不思議に思われて、調査されたとの事。
その結果、答えは、日本だとメガバンクが強過ぎる事、送金者業法で銀行業以外が送金可能になったが、金融庁対応が困難である事。
つまり金融庁とメガバンクがフィンテックを潰しているらしい。
以前僕も「FinTech革命が起きても銀行は死なない」という話を書きました。
野口先生も、どうやら日本では金融庁とメガバンク強すぎるという話をされたようで、全くもってその通りだと思いました。
日本の損保業界に入社すれば今後数年は安泰?
ちなみに、個人的には銀行業界よりも更に強いのが、損保業界かと思っています。
上記の図はこちらの記事のもので、自動車保険に限定はされていますが、国内損保市場は3社の完全なる寡占市場であり、外資が徐々に頑張ってはいるものの、全くStartupが入るこむ余地が無さそうな状態となっています。
保険のC to Cが出てくる可能性もあるかもしれませんが、日本の損保業界については、少なくとも5年程度は、メインプレイヤーも既存のビジネスモデルも変わらないまま進行していくことでしょう。
これは、そもそもの「保険」というものの特質にも結び付いているような気がしています。
自動車を買ったら「自動車保険」に入るもの、家を買ったら「火災保険」や「地震保険」に入るものというように、保険はある種隠れた前提のような存在となっており、非常に人々の生活に自然と入り込んでしまっているもののように感じます。
このように非常に自然で人々の生活に密着しているものなので、保険を何か別の代替に切り替えるのはかなり難しいのではないでしょうか?
「Googleの自動運転車の普及などによって、損保業界自体の市場規模が小さくなる」「未来を予測できるようになることで、保険はいらなくなる」という意見をお持ちの方もいるかと思いますが、それはもう少し先の未来な気がしています。
また、「リスク」が完全に世の中から無くなることは無いと思います。
何かの「リスク」を消せたとしても、また何か思わぬ「リスク」が生まれるといった形で、結局いたちごっこなのかなと。
日本でやるならばブロックチェーンなのか?
野口先生のコメントに戻り、更に気になったのがこちらのコメントです。
フィンテックは銀行業の存在を前提にするビジネスだが、ブロックチェーンは銀行業と関係なく動いている(分散型で規制困難)ので、日本でやるならば、ブロックチェーンと言われてました。
確かに、仮想通貨に関する規制は出てきていますが、ブロックチェーンに関する規制は今のところ無いかと思います。
これは非常に気になるコメントでした。もしかしたら金融業とは少し離れた分野を想定されているのかもしれませんが。ちなみにビットコインやブロックチェーンにご関心のある方はこちらを読まれることをお勧めします。