以前の記事にも書きましたが、日本の保険業界は本当にスタートアップがディスラプトし辛い業界のように感じています。
今日は主に生命保険の分野について書こうかと思いますが、まずは日本の生命保険業界についてざっくり概要を書きます。
日本の生命保険業界の概要
日本の生命保険業界の市場規模は約40兆円(年間の収入保険料ベース)とかなり大きい市場ですが、かんぽ生命を除くと、市場の約半分のシェアを大手4社(日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命)が握っている状況です。
結構前にライフネット生命の岩瀬さんと出口さんが132億円もプレゼンテーションだけで資金調達をして参入しましたが、中々この情勢を覆すのは至難の業でしょう。
海外市場と第3分野の保険
近年大手の生命保険会社は、日本の人口減少による市場縮小や生保加入率の減少から海外に活路を見出しています。
また、医療保険や介護保険などの「第3分野の保険」と呼ばれる市場も伸びているので、そこに力を注いでいたりします。
個人的には第一生命さんがいち早く自社を株式会社化したり、インド、タイ、ベトナム、インドネシア等の東南アジアにも早くから進出されていたりするので、今後も伸びるような気がしています。
また、法改正によって、損保業界のプレイヤーが会社を作って生保に参入できるようになったので、そのような背景から設立された東京海上日動あんしん生命さんや損保ジャパン日本興亜ひまわり生命さん等々も、既に顧客基盤やノウハウを持っているので、今後伸びていくかと思います。
色々ざっくり書きましたが、日本の生命保険業界にベンチャーやスタートアップが同じようなビジネスモデルでトライしても、メインプレイヤーになるのは残念ながらかなり難しい状況です。
まあそんな状況ですので、日本の大手生命保険会社で働いている方々は、結構のほほんとしていたりします(もちろん人によります)。
では海外はどんな感じなのかちょっと見てみましょう。
海外の生命保険分野のスタートアップ
以前こんな記事をTechCrunchさんが書かれていました。
関係ないですがTechCrunchさんの情報配信はいつも他のメディアよりも早くて的確な気がしています。こちらの記事でも記載されている企業をちょっと紹介します。
Oscar
Oscar | Smart, simple health insurance.
Oscarは米国の「医療保険」分野のスタートアップで、以前から米国では注目されています。
HPの動画を見ると分かりやすいですが、携帯で「病気の症状と予算」を入れると、近くにいる最適なドクターを検索できるようです。
ちなみにドクターの経歴を見れたり、今ドクターが空いているかどうかなども分かるようで、何とも便利です。
また、こちらの参考記事によると、全ての保険の手続きはオンラインで完了し、月々364ドルのコース加入者は、ジェネリック医薬品が無料になったり、医師の無料訪問サービスを受けられたりもするようです。
この「現物給付」を受けられるところがポイントかと思います。
「現物給付」というのは、「保険金の支払いではなく、医療や介護等のサービスそのものを提供する」ことです。
例えば、事故で病院に入院した際、通常は保険金をもらい、もらった人がそのお金で入院費を支払います。
ですが「現物給付」の場合はそうではなく、直接病院と保険会社がやりとりして対応してくれるような形になります。
多分こっちの方が楽なので、今後は日本でも増えていく気がします。
海外の損害保険分野のサービス
TechCrunchさんの記事に出ていたので、せっかくなので2つほど損害保険分野でも海外のサービスをご紹介します。
Metromile
Metromileは、走行距離に応じた自動車保険を販売しています。そのため、そんなに車を使わない人にとっては保険料が安くなりますよ~という宣伝ができます。
ただ、このビジネスモデルは大手がすぐマネをすることができてしまいますので、例えば日本でもソニー損保さんだったりがやっていたりします。
CoverHound
CoverHoundは大手保険会社の自動車保険をネットで比較できるサイトです。
日本でも価格.comさんなどがあったりします。
日本の損害保険業界についても大手3社の独占状態ですので、何だか特定の分野に特化する戦略が有効な気がしています(ペット保険のアイペットさんやAIUさんなど)。
保険業界については他にも気になる記事(6 Insurance Startups to Watch)がいくつかあったので、今度またまとめて調べようかと思っています。
それでは今日はこの辺で。