【2017年一部更新】
中国のシャドーバンキングとは、銀行などの金融機関を通さない金融取引のことです。
「シャドー(shadow)」という名前にもあるように、影の取引のようなものです。
今回はこの中国のシャドーバンキングや、中国だけでなく世界中で規模が拡大しているオンライン融資(融資型のクラウドファンディング)などに関して書きます。
ちなみに融資型のクラウウドファンディングとは、貸し手はオンラインでお金を貸し、借り手はオンラインで借りたお金を、利子を付けて貸し手に返す取引のことです。
中国のシャドーバンキングについて
まず、中国のシャドーバンキングがどのようにして生まれたのかを調べて見ます。
こちらの参考記事によると、2010年に中国人民銀行は景気の過熱を抑えるため、金融の引き締め策に踏み切りました。
これによって、事業を続けるための資金を銀行から借りられなくなった地方政府や企業が頼ったのが、銀行を介さない金融取引である「シャドーバンキング」だったとのことです。
地方政府傘下の投資会社が『理財商品』と呼ばれる金融商品を発行し、10%を超える高い利回りで投資家に販売して、資金を集め、地方政府はこの資金で都市開発などを続けてきたとのことです。
こうして地方政府や企業は、300兆円ものお金をシャドーバンキングを通して調達しましたが、借りたお金に10%もの利息を付けて返済することが困難になっているようです。
そのため、どのくらいのお金が返済不能になっているのか、今も実態がつかめない状態にあるようです。
また、専門家によっては半分程度(150兆円)ほどの返済が不能(デフォルト)になるのではないかとも言われているようです。
中国のシャドーバンキングの成長性
Don't Forget China's "Other" Spinning Plate: Trillions In Hidden Bad Debt | Zero Hedge
シャドーバンキングに関するデータは無いかとちょっと調べてみましたが、どうやらこちらの記事によると、着々と成長しているようではあります。
中国が今後とも世界で影響力を持つ国となることは間違いないですが、その一方で、一人っ子政策(人口)やシャドーバンキング(金融)の歪を抱えていることも、また確かなのでしょう。
中国のオンライン融資市場について
また、こちらはシャドーバンキングではないですが、近年ではインターネット上での資金調達やお金の貸し借り(オンライン融資)が盛んになってきています。
以前もこの「オンライン融資」については世界中で盛り上がっているという記事はご紹介しましたが、当然中国でもこのオンライン融資は拡大しています。
ちなみに「オンライン融資」という単語に関しては、「融資型のクラウドファンディング」「オンラインレンディング(融資)」「P2Pレンディング」「P2Cレンディング」「ソーシャルレンディング」など、人によって呼び方が異なる気がします。
正確にはそれぞれ意味が違うのですが、ここでは取り合えずそれらを全て包含するものとして「オンライン融資」という単語を使います。
中国のオンライン融資市場の成長性
カードBizと僕の勝手気ままログ : 中国クラウドレンディング18兆円
参考までにこちらの記事を少し抜粋すると、以下の内容が記載されています。
Wangdaizhijia.comのレポートによると、2015年中国本土でのクラウドレンディング融資総額が9,823億元(1,510億ドル:18兆円)になった。
これは2014年対比288.6%増。2014年は2,528億元(387.7億ドル)だった。
中国には2,595件のクラウドレンディングサービス提供者がいる。2015年だけで1,020件の新規参入があった。
クラウドレンディングが伸びている理由は、銀行より借りやすいこと。投資家にとっては、銀行預金金利より高い利回りがもらえるからである。
ちなみに以前ご紹介したBloombergの記事によると、「中国では2612のオンライン融資プラットフォームが11月時点で正常に稼働し、融資残高は4000億元(約7兆4200億円)を超える」とのことでした。
なので、参照するリソースやカウントする業者によって金額は変わりそうですが、それにしても莫大な金額が中国で動いていることは確かなのでしょう。
中国のオンライン融資サービス例
中国のオンライン融資サービスはLufaxが最近話題ですが、こちらのサイトにいくつか有名なサイトがリスト化されていたので、ついでにご紹介します。
P2Pレンディング
SNS審査活用のローン
ちなみにこの「オンライン融資サービス」に関して、僕が以前から注目しているのは「SNSを活用した審査」です。
以前はVouchをご紹介しましたが、こちらの2011年に設立された「Lenddo」も大分昔からSNSを活用した審査サービスを提供しています。
「Lenddo」はフィリピンの企業ですが、メキシコ・フィリピン・コロンビアなどの新興国のクレジットヒストリーの無い顧客に、小口のローンを提供しています。このようなSNSを活用した審査モデルは今後ますます増えていくのでしょう(参考記事)。
日本のオンライン融資サービスの成長性は?
ちなみに、日本のオンライン融資サービスは今後どうなのでしょうか?
以前の記事で今後日本でも流行ると予想したソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)ですが、ニュースにあるクラウドバンクさんも、2013年12月のオープンから約2年経った2016年1月に応募総額50億円を突破し、順調に規模を拡大していっているようです。
おそらく日本でも今後ともこのオンライン融資の市場は伸びていくことでしょう。
また、最近は融資型のクラウドファンディングだけでなく、不動産特化型のクラウドファンディングサービスであるOwnersBookさんなども出てきています。
日本のソーシャルレンディングサービスの詳細についてはこちらの記事にまとめましたので、ご関心のある方は合わせてご確認ください。