個人的に仮想通貨のイーサリアム(Ethereum)には非常に関心があります。
多くの人が「イーサリアム」に関心を持ったのは、ホリエモンの発言(イーサリアムやべえ)からかと思います。そこで今回は、そんな「イーサリアム」についてご紹介します。
- マイクロソフトやIBM、Samsungもイーサリアムに注目
- 仮想通貨のイーサリアムとは何か?
- スマートコントラクトとブロックチェーン
- イーサリアムが実現する未来とは?
- 第三者を介さず自動で手続きが完了する
- 「Ether」から見る新しい資金調達手法とは?
- イーサリアムとブロックチェーンのアルゴリズムについて
マイクロソフトやIBM、Samsungもイーサリアムに注目
2015年11月にはこんなニュースが流れました。
2番目の記事によると、マイクロソフトは、マイクロソフトのクラウド基盤である「Azure」において、イーサリアムのブロックチェーンと機能が簡単に使えるようなインターフェイスを提供する事になったとのことです。
また、IBMとSamsungも、IoT領域でイーサリアムの技術を使うことを発表しているようです。
これだけ読んでもイーサリアムが何かは良く分からない感じですが、「イーサリアム」の注目度は分かるかと思います。
仮想通貨のイーサリアムとは何か?
イーサリアムはWikipediaにも載っていますので、そちらを抜粋するとこのように書かれています。
イーサリアムは、イーサリアム・プロジェクトにより開発が進められている、分散型アプリケーション(DApps)やスマート・コントラクトを構築するためのプラットフォームの名称、及び関連するオープンソース・ソフトウェア・プロジェクトの総称である。
イーサリアムでは、イーサリアム・ネットワークと呼ばれるP2Pのネットワーク上でスマート・コントラクトの履行履歴をブロックチェーンに記録していく。
またイーサリアムは、スマート・コントラクトを記述するチューリング完全なプログラミング言語を持ち、ネットワーク参加者はこのネットワーク上のブロックチェーンに任意のDAppsやスマート・コントラクトを記述しそれを実行することが可能になる。
これだけ読んで理解できる方は、これ以上僕の文章を読む必要は無いかと思います。
また、少し古いですが下記の記事が一番分かり易い気がしましたので、こちらを元に考えてみたいと思います。
スマートコントラクトとブロックチェーン
上記の記事で僕が一番分かり易いと思った部分を抜粋してご紹介します。
たとえば、スマートコントラクト(契約)というものがある。
これは、いわゆる民事の契約を、コンピュータがわかるように記述しようというものだ。つまり、契約書、契約を、コンピュータのスクリプトにして、コンピュータが理解し、処理できるようにしようというものだ。
たとえばスマートコントラクトでは、誰が誰にいくらをかりて、いつ返す、担保はこれこれといったものから、複雑な権利のやりとりといったものまでを記述することができる。
さて、このスマートコントラクトと、ビットコインのもつブロックチェーンの認証の仕組みを組み合わせたら*どのような未来が考えられるだろうか?
例えば、ある人物が10ビットコインを借りて、1年後に返すという約束を作ったと考える。すると、これを、電子署名し、偽造できないかたちで、ブロックチェーン(ビットコインのデータベース)に書き込むことができる。
その約束は、特別な認証機関なしに、ネットワーク参加者の全員がたちどころに認識することができ、そして、それを正しい・偽造されていないということを明らかにできる。
そして、スクリプト化されているので、期日がきたらコンピュータが自動的に執行するようにもできるし、エクスロー取引も簡単になる。これは、デリバティブの取引ができるとうことだ。
デリバティブをスクリプトで定義し、エクスローをかませてネットワークに載せることもできる。そしてそのデリバティブ契約は自由に売買(所有権の移動)も可能だ。
このようなことができる基盤が、いまオープンソースで開発されている。それがEthereumというものだ。
何となく分かったような分からないような状態になったかと思います。
僕がこの文章を読んで一番驚いたのは、「コンピュータが自動的に契約を執行できる」という部分でした。
それでは、更にもう一歩踏み込んで具体例を考えてみたいと思います。
イーサリアムが実現する未来とは?
イーサリアムで良く例に出されるのが「クラウドファンディング」です。
こちらの記事でもイーサリアムの3つ目の特徴として、例が出されています。
人々が集ってなにかをするとき、もっとも難しいのは決められたルールをまもって仕事をすることだ。
イーサリアムのコンピュータ上で走る業務やアプリは、予めルールをビルトインすることができ、第三者の仲介や監督なしに、執行できる。
例えば、イーサリアム上の分散型クラウドファンディングアプリは、元締めも、監査人も、資金の預かり人も必要なく、ルールにしたがってイーサリアムのコードが、ファンドの目標額の判定や、安全な預かり、資金の分配を自動的に行う。
例えば、AさんがMakuakeというクラウドファンディングサイトを使って、お店の開業資金100万円を調達するとします。
その場合、大体1か月ぐらいMakuakeのサイト上で資金調達のプロジェクトを続け、オンラインで様々な出資者からお金を集めます。
無事1か月で目標の100万円が集まったら、数週間~2か月後ぐらいに、Aさんの口座に約20%の手数料を引いた金額が入金されます。
これら一連のプロセスに付随する、プロジェクト管理や、集めた資金の管理や、Aさんへの振込事務は、全て手動で行われることになります。
ですが、この「イーサリアム」という基盤を使うと下記のようなことが実現可能という話かと思います。
第三者を介さず自動で手続きが完了する
例えば、Aさんが100ビットコインをクラウドファンディングで調達したい場合、イーサリアム上のアプリを使うと、全て自動で完了するということです。
まず、「イーサリアムのコンピュータ上で走る業務やアプリは、予めルールをビルトインすることができ、第三者の仲介や監督なしに、執行できる」とのことです。
そのため、100ビットコインが集まれば、クラウドファンディングのプロジェクトは自動で終了し、自動でAさんに100ビットコインを送金するというルールを、予め組み込むこともできるのかと思います。
また、予めルールを組み込んでおけば、プロジェクトの期日が来てもお金が集まっていなければ、出資した人にきちんとお金を返金するということも、自動で可能になるということかと思います。
そして更に凄いことに、ブロックチェーンの仕組みがありますので、そのお金の移動の記録は、誰にも改ざんされない形で、誰もが見える形で、ネットワーク上に残り続けるため、第三者や特別な認証機関が不要ということです。
つまり、この「イーサリアム」を応用すると、クラウドファンディングサイトの管理者や、資金の振込時に使用する金融機関さえ不要ということになるかと思います。
「Ether」から見る新しい資金調達手法とは?
日本デジタルマネー協会の資料では、「Ether」に関しても説明されていましたので、少し「Ether」についても触れておきます。
先日ご紹介した「Factom」が「Factoid」を持つように、「Etherium(イーサリアム)」も「Ether」と呼ばれる独自通貨をもちます。
この「Ether」は「イーサリアム」を利用するための基本的単位で、「イーサリアム」を利用するためには「Ether」を支払わなければなりません。
「イーサリアム」は「Ether」をビットコインと引き換えに事前に販売することで、「イーサリアム」の初期の開発費用を獲得しています。
これは先日の記事でもご紹介しましたが、所謂「クラウドセール(ICO)」と呼ばれる手法で、「新しい資金調達手法」と言っても過言ではないでしょう。
この「クラウドセール」で、イーサリアムはなんと約16億円もの資金調達を完了しています。
イーサリアムとブロックチェーンのアルゴリズムについて
多少古い資料にはなりますが、アルゴリズムに関するスライドもあったのでシェアしておきます。
最後に、ZUUさんの記事によると、2016年にはIBMといった大手企業がイーサリアムと提携することが期待され、イーサリアムが「ブロックチェーン業界のリーダー」としての地位を不動のものとすることは間違いないとも言われていました。
実際にイーサリアムのクラウドセール参加者の中にはすでに1,000倍ものリターンを得た方もいたり、金融機関であったらUBSやBarclaysが特に関心を抱いているようで、世間からの期待値の高さは伺えます。