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銀行員の転職のリアルと転職後のキャリアを元銀行員が紹介

銀行員の転職

今回は主にメガバンクなどの若手銀行員の転職の実態や、銀行員の転職先とその後のキャリアパターンについて書きます。

僕自身が転職をしているからなのか、コンサル時代や独立後の経験を合わせると通算二桁以上の企業で働いたことがあるからなのか、元同期や先輩、他業界の友人などから転職相談を受けることが時々あります。

毎回似たようなことを回答している気もするので、今回は銀行員のリアルな転職先や転職後のキャリア事例を、サンプルを元に書いておこうかと思います。

銀行員の転職先とその後のキャリア事例

銀行員の転職

外資系コンサルに転職するパターン

まず、外資系企業へは入社2~5年目ぐらいで転職するパターンが多いようには思います。

僕が知っている外資系コンサル転職の事例をいくつかご紹介するとこんな感じです。

  • パターン①:外資系コンサル→ベンチャー役員
  • パターン②:外資系コンサル→外資系コンサルパートナー
  • パターン③:外資系コンサル→事業会社へ管理職で再就職
  • パターン④:外資系コンサル→監査法人

こういうキャリアのパターンを歩んでいる方は複数人いますし、僕自身も3年目で外コンに転職しましたので、銀行から外コンに転職される方は結構多いかなと思います。

外コンの良いところは入社5年目ぐらいまではポテンシャル採用をしてくれるところです。ベースのロジカルシンキングとコミュニケーション能力があれば、ポテンシャルがあればどこのファームへも入社5年目ぐらいまでは転職可能かと思います。

入社5年目ぐらいまでであれば、日本であれば学歴が高い方は書類選考では足切りもされ辛いのではないかと思います。それよりもキャリアが長くなっていて30代前半ぐらいの場合は、やっぱり企画系の部署にいる方がコンサルへは転職しやすい印象はあります。

外資系金融に転職するパターン

続いて、外資系IT企業や外資系メーカーに転職したパターンは実はあまり聞いたことはないのですが、下記のような外資系金融機関に3~5年目ぐらいで転職するパターンも、少数だとは思いますが一応あるにはあります。

  • パターン⑤:外資系投資銀行
  • パターン⑥:外資系VC(海外現地採用)
  • パターン⑦:外資系M&Aブティックファーム

外資系投資銀行に転職した直接の知人はいませんが、「モルガンスタンレー」や「JPモルガン」に転職した話はたま〜に聞いたことがあります(モルスタの場合はMUMSSからのモルスタかとは思われます)。

また、若手でなくても長年市場部門などでトレーディングのキャリアを積んだり、プロジェクトファイナンスやM&Aなどの専門的なスキルをつけてから外資やPEに転職された方にはお会いしたことはあります。

ですので、そのようなキャリアもかなり狭き門かとは思いますが、一応あるにはあると思います。ですがご存知のように銀行員は自分でキャリアを選べませんので、よほど運がよく無い限りは難しい気がします。。

ちなみに、ヘッジファンドへ銀行から直で転職された方は、若手では僕は知りませんので、ご関心のある方は外資系投資銀行などでキャリアを積んだ後に目指されるのが良いのかなとは思います。

銀行からベンチャー企業に転職するパターン

ベンチャー企業へ転職

続いて、メガバンクや銀行からベンチャーに飛び込む方の場合ですが、そのような方は結構見切りが早く、大体1~2年目で辞めている気がします。

  • パターン⑧:ベンチャーやスタートアップ→起業?

そして、その後起業するパターンもあるように思います。

本ブログでも度々書いてますが、いかんせんメガバンクの最初の3年間ぐらいの成長スピードは、外資系企業や急成長中のスタートアップなどで働いている方々と比べて圧倒的に遅いです。

ですので「安定」や「待遇」を求めないのであれば、早めにベンチャーに飛び込むのもアリなのではないでしょうか。

ちなみに銀行から独立して起業した知人が2人いますが、いきなり起業するパターンはあまり多くないように思います。そもそもすぐ起業する人はメガバンクには入らないのでしょう。

古巣で銀行を辞めた後に転職せずして起業した著名人には以下のような方々がいますが、かなり珍しい部類なのではないかなと思います。

  • 松田公太氏(タリーズ創業者)
  • 出雲充氏(ユーグレナ創業者)
  • 安東泰志氏(フェニックスキャピタル創業者)

他にもどなたかいれば教えてください。

銀行から、国際機関・ボランティアなどに転職するパターン

国際機関

続いて良く聞くのが、国際機関系・ボランティア系への転職です。

  • パターン⑨:国際機関系(JICAなど)
  • パターン⑩:ボランティア系(青年海外協力隊やNPOなど)

こちらに関しては、正直あまり転職する際の年次も関係ない気がしています。

僕の知人には3年目で辞めた方もいれば、9年目で辞めた方もいます。やりたいと思った時が辞め時なのかもしれません。

ただ、国際機関の場合は入社するにあたって「修士」がマストだったりしますので、入社前に海外の大学院などを挟む方が大半かもしれません。

ちなみに青年海外協力隊に行かれた方は僕の知人でも何人かいますが、2年間の海外駐在後に再度海外の大学院に進まれた方や、帰国後にコンサルに就職されたり、外資系企業に就職された方もいます。

以上、ここまで紹介してきたキャリアを歩んでいる方は、銀行を辞めた後も楽しく働いている人が多いかな〜という印象はあります。

その他の良くある銀行員の転職パターン

転職パターン

その他の良くある転職?はこの辺かと思います。

  • 親の会社を継ぐ
  • 公務員
  • 他業界の経理・財務系

転職と言って良いのか微妙ですが、「親の会社を継ぐ」パターンは結構あります。

銀行の取引先の社長の息子が、勉強のために銀行に入社してくるパターンですが、当然入社数年後には辞めます。僕の拠点の後輩や同期もこのパターンでしたが、今では地方の中小企業の取締役になって活躍しています。

将来的にオーナー企業に入社する人にとっての修行のような場としては、様々な企業について学べる日本の銀行は悪くないのかもしれません。

続いて公務員は僕の周りにはあまりいないので詳しくは分かりませんが、先輩が市役所に30歳前に転職されました。かなり幸福度が上がったとのことでしたので、給与水準が落ちてもストレスフルな職場から抜け出したい方にはおすすめかもしれません。

ただ、何となく公務員の勉強はしているものの、結局は転職しない人が多いようには思います。なお、他業界の経理に関しては、企業によっては実務経験を求められたりしますが、簿記2級程度でOKなところもあります。

しかしながら、メガバンクなどと比べると各種待遇は落ちることでしょう。別に待遇が落ちても構わないということでしたら、30歳前後ぐらいまででしたら、普通に他の業界に転職することは結構できるんじゃないかなとは思います。

他には女性特有?ではありますが、転職というか「結婚退職」も結構ありました。

  • 結婚

僕の元同期などは、入社2~5年目ぐらいで結婚して颯爽と銀行を退職し、その後は専業主婦になったり地元企業に再就職したり色々ですが、楽しく過ごされているイメージです。これら以外には「大学院」や「留学」でしょうか。

  • 大学院系(研究など)
  • 留学系(MBAなど)

あんまり今の時代でMBAなどは聞かない気はしますが、中にはいるのではないでしょうか。それよりも公認会計士の資格をとって監査法人にいったりする人の方が、転職する人には多い印象です。

あまりオススメしない銀行員の転職先

転職

個人的には、メガバンクなどの都市銀行→地銀信金などへの同業者間での転職は、あまりおすすめはしません。

転職自体はもちろん可能だとは思いますが、現在の銀行の職場環境に不満があるようでしたら、正直銀行のカルチャーはどこもそんなに変わらない気がしているからです。金融機関へのコンサル経験でもそのように僕は感じました。

なので、そのまま今の職場で頑張ってみるか、いっそのこと働く業界を変えた方が良いようには思います。

ちなみにメガバンクの場合は最初に集合研修があるのですが、当時は目を輝かして「将来は独立する」「3〜5年で転職する」と言っていた同期も、6年目となった今も会社に残っている方が大半ですし、飲み会で会社の不満や愚痴を話している人が大半です。

逆に今でも生き生きしている元同期は、基本的に出世コースを歩んでいる人が殆どです(もちろん中には銀行の仕事自体が好きで、出世とは関係なく仕事を楽しんでいる人も少数だとは思いますがいるとは思います)。

社会人6年目ぐらいになってくると、同じ会社に勤めていても全然違った人種になっているようには感じます。

銀行員の転職に関するまとめ

銀行員の転職

最後にまとめですが、個人的には現状にすでに何かしらの不満があるのならば、社会人5年目ぐらいまでに転職するのがおすすめです。

キャリアの選択肢が色々ありますので。その後はどんどん転職先の候補が少なくなっていくかと思います。

本部の特定の部署で他社でも使える汎用的・専門的なスキルを身につけられているのならば、更にスキルを磨いてキャリアを積んでから転職するのもありだと思います。

また、今も昔も変わらない出世コースの「企画・人事・海外・営業本部・トレーダー・(もしかしたら今後はITも?)」あたりにいる方は、そのまま会社で頑張るのも良いかもしれません。

IT系の部署にいればIT業界やFinTech企業へいくこともできるかもしれませんし、上述したように企画系の部署にいればコンサルへのキャリアパスはあるかもしれません(少ないとは思いますが…)。

ですが、銀行の場合は基本的にキャリアを自分で選べないですし、フィンテックやブロックチェーン、ビットコインの影響で20年後に銀行がどうなってるのかは、もはや誰にも分かりません。

東芝などの大企業の例を見ればわかりますが、今の時代は一生一社だけに勤める方がむしろ難しいです。ですので、自ら人生を切り開いていきたい方は転職エージェントを利用されて、早いうちから転職準備をされるのが良いのではないでしょうか。