ビットコイン投資などを調べていると非常に怪しいサイトを良く見かけますが、個人的にビットコイン融資やビットコインP2Pレンディングの領域は非常に面白い気がしています。
今後世界各国の法律がどうなるのかは分かりませんが、借り手のニーズがある限りは、このグレー期間の間にじわじわと市場自体は伸びていくのでしょう。
そこで今回はビットコインやフィンテック関連メディアが取り上げていた、ビットコインの融資サービスを3つほどメモしておきます。
ちなみに2017年6月には、仮想通貨の取引業者のコインチェックさんも「貸仮想通貨サービス」を再開しました。
1. BTCJam
「BTCJam」はHPを見たところBlogの更新が止まったままであったり、FacebookやTwitterなどのSNSの投稿も止まっていたので、今後どうなるのかちょっと不透明ではあります。
ですが、最近のユーザーの動きを見てみるとやっぱり面白いサービスだなとは思います。
投資家の与信判断方法
BTCJamを利用する投資家が、どうやって「この人にビットコインを貸して大丈夫なのか?」を判断しているかというと、借り手のプロフィールや資金ニーズはもちろんのこと、まずは下記のようなID・Paypal・クレジットカード・SNS等の認証をチェックしているようです。
まあよく見かけるやつですが、BTCJamではこれらに加えて、下記のようなFacebookフレンド数やTwitterのフォロワー数など、ソーシャル上のクレジットスコアのようなモノも見て判断しているようでした。
いわゆるソーシャルな与信判断というやつかもしれません。そしてこれに加えて、当然借り手の評価(要はレビュー)などもあります。
借り手の評価
借り手は、きちんと資金を期限内に返済すれば自身の評価が上がり、資金を返さなければ自身の評価は下がります。
評価が上がれば上がるほど次の資金を借りやすくなるで仕組みです。
このような仕組みはAirbnbなどのシェアリングエコノミーのサービスと同じです。
ちなみに、僕が見た借り手のユーザーのページでは、お金が返ってこない状態が発生しており、貸し手が嘆くコメントを投稿していました。
このように、当然借り手のデフォルトリスクはありますが、BTCjam自体は借り手と貸し手を繋ぐプラットフォームなので、特段このデフォルトリスクは追いませんし債権管理をする訳でもありません。
借り手のデフォルトリスクは、貸し手である投資家が負う形となっています。
返済状況
そこで実際にこれまでの投資家のリターン状況を見ると、正直中々厳しいようには見受けれます。
特にクレジットスコアがDの借り手にビットコインを貸した場合は、かなりの確率で貸したビットコインは返って来ていないようです。
資金使途
また、資金使途に関しても、二番目に大きな割合である用途が「others」となってしまっており、何にお金が使われているのか不明瞭な状況なようにも思えます。
余談ですが個人的には「Vacation」という用途まであるのが、日本人の感覚とはかなり違うように思いました…
いずれにせよ、正直このサービスを使ってお金を返さなくても、日本であれば自分のクレジットカードの信用情報が傷つく訳でもないので、こういうサービスを悪用する人はしちゃいそうな気もします。
ただ、こういう形で個人が世界中の人々に向かってお金を貸してくれと投げかけ、実際にお金を借りることができるようになったというのは、やっぱり凄いことなように思います。
2014年にスタートしたBTCJamですが、一応ユーザーはまだアクティブなようです。
2. Bitbond
続いてBTCJamの類似サービスとして良く紹介されるのが「Bitbond」です。
上記の「Bitbond」のプロモーショナルムービーを見ると、割とストーリーは明るい感じに仕上がっています。
新興国?で生活するファッションデザイナーが世界中に融資を募ってお金を調達し、自分のビジネスを拡大していくというストーリーですが、こういうビットコイン融資の使われ方を見ると、明るい未来を感じます。
「Bitbond」はアマゾンとも提携しているようで、アマゾンセラーのアカウントとリンクでき、セラーの評価に応じてローンの金利が安くなったりもするようです。
個人的には「Bitbond」は面白そうなので、今後も注目しておこうかなあと思います。ちなみに日本語の記事はBTCNewsで読めます。
3. Ripio(旧Bitpagos)
最後にご紹介する「Ripio」はZUUさんの記事にもあるように、ラテンアメリカ(南アメリカ)にフォーカスしたビットコインスタートアップです。
アルゼンチン人のファウンダーが、現在ではアルゼンチンだけでなくブラジルやメキシコでもビットコインサービスを展開しているようです。
ちなみに先日更なる資金調達をされたようですので、一応今のところ順調に成長しているようです。
記事にも書いてありますが、こういう南米などの地域の人々は、日本と違って銀行への信頼感も無いので、銀行口座にお金を預けるのではなく現金のままどこかに保管していたりする人も多いようです。
このような状況下にある国でのビットコインの位置付けというのは、日本とは大分異なるものなのでしょう。
おまけ:BitLendingClub(旧loanbase)
ついでにおまけですが、同じくビットコインのP2P融資サービスを提供していた「loanbase」は、既に「BitLendingClub」にビットコイン融資事業を譲渡していたようでした。
そしてその「BitLendingClub」も、ブログを見たところ残念ながら間も無く事業は終了する様子でした。
こういう事例を見ると、「Ripio」はちょっと違いますが、ビットコイン融資単体のサービスは、マネタイズが難しいのかもしれません。
ただ、クラウドファンディングと違って、資金使途に社会性や人々の共感を求められなかったりするように思いますので、借り手としては使い勝手が良いと思うこともあるでしょう。
また、クラウドファンディングと比べて手数料も圧倒的に安いですし、国境を気にする必要もないので、新興国在住の借り手のニーズは、割とあるのではないでしょうか?
例えばお店のオーナーであればもう1店舗作りたいなど、自分のスモールビジネスを拡大させたいニーズなどにもハマりやすい気はします。
ビットコインレンディングの市場が今後どうなっていくのかはまだ分かりませんが、こういうサービスは金融機関の収益を奪っていくものの一例なんだろうなあとは感じました。