金融とテクノロジー雑記

勉強になった本のアウトプットなど

クリエイティブ人事の感想 | サイバーエージェント人事曽山哲人氏の共著

クリエイティブ人事の書評

クリエイティブ人事~個人を伸ばす、チームを活かす~ (光文社新書)」を読みました。

前々から本書は気にはなっていたのですが、会社で人事部門も統括することになったこともあり、改めてじっくりと読むことにしました。

初版は2014年と少し昔にはなるのですが、今でも参考になる点が多数あり、人事や組織に関してとても勉強になったので、参考にできるところは実際に今の組織にあった形で取り入れていきたいと思っています。

金井氏のキャリアデザインに関する講演

ちなみに、本書はサイバーエージェントCHOの曽山哲人氏と、神戸大学名誉教授の金井氏の共著です。金井氏に関しては、10年以上前にはなりますが、銀行時代の新入研修で講演を聞いたことを思い出しました。

当時の講演内容は、「節目節目でキャリアを考えてドリフトしろ」といったようなメッセージだったように思います。

自分としても、人事部に自分のキャリアを決められる人生ではなく、自分で主体的にキャリアを作っていく人生の方が良いとは考えていたので、節目節目で今後のキャリアを考えろというメッセージは当時の自分には印象に残りました。

サイーバーエージェントの人事部のミッション

エンジン

本書では、サイバーエージェント人事本部のミッションは「コミュニケーション・エンジン」と定義されています。

ちなみに最近のサイバーエージェントに関するインタビューを読んだところ、今は「コミュニケーション・エンジン」から「パフォーマンス・ドライバー」へとシフトしているようです。

これまで、組織を縦に繋ぐ「コミュニケーション・エンジン」であった人事部だが、これからの10年は「パフォーマンス・ドライバー」として、成功事例を言語化・パッケージ化し、横展開するなど、人事の新しい役割を担っていく。

株式会社サイバーエージェント 人事本部長 武田 丈宏 氏 | 人事部長の『想い』切りトーク

人事が強い組織というのは、社内の人だけでなく、社外の人にもその特徴的な人事制度であったり、バリューであったりが伝わっているようには思います。

例えば、本書で紹介されているサイバーエージェントの人事制度は私もいくつか以前から聞いことがありましたし(あした会議、CA8など)、メルカリの有名なバリュー(Go Bold、All for One、Be a Pro)などは他社の人にも知られているように思います。

他にも有名なのだとリクルートの「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」であったり、DeNA Qualityの「「こと」に向かう」など色々と有名なフレーズはあると思われますが、この記憶に残るフレーズというのは、ワーディングにもかなり拘っているのでしょう。以下、その他本書で学びが深かった部分をメモしておきます。

 

クリエイティブ人事で印象に残った箇所

クリエイティブ人事の内容

人事のリーダーは事業戦略の議論の場にいるのか

あなたの会社には、人事のリーダーがイニシアティブをとって、自社の戦略と社員の成長を結びつけて議論するような場がありますか

評価・査定は納得感のある対話

評価・査定はシステムではなく、「納得感のある対話」なのです。日常的に上司が部下と話し合い、よければほめる、悪ければ指導するという関係を築いていれば、評価や査定の結果がどうであっても、部下は納得して受け入れるのです

マネジャーの役割は組織の成果を出すこと

マネジャーの役割は「組織の成果を出すこと」

マネジャーに必要な三つのスキル

一つ目の目標力は、チームの成果を定義、メンバーを導く力

二つ目の役割力は、個々のメンバーの強みを見極め、成果を出すために配置する力

三つ目の評価力は、成果への進捗を確認し、軌道修正する力

個人的にもマネジャーの役割は、組織として成果を出すこと、自分が抜けても問題ない仕組みや組織を創ることかと考えています。経営者と同じで、成果を上げられて50点、自分よりも優秀な後継者を輩出できて50点というイメージです。

ミスマッチ制度

大事なことは「頑張っている人が報われる会社をつくること」

ミスマッチ制度では、まず事業部長クラスが、自分の担当する部署に所属する部下たちの中から、ミスマッチ候補となる5%をピックアップします。

併せて、より公平性をもたせるために、現場の社員の360度評価も行います。

「成果」と「価値観」などの観点で評価し、よいと思ったら「晴れ」、悪いと思ったら「雨」、そのどちらでもなかったら「曇り」にチェックを入れるのです。

評価に迷ったら、全て「曇り」にしてもかまわないと社員には伝えてあります。

 

人事幹部を育てる-五つの習慣と十六の行動指針

  1. リーダーとしての習慣(三つのスキルを身につける、ボード視点を持つ、壮大な野心を持つ)
  2. 勝ちに拘る習慣(ニュースには即レス、競合へのアンテナを張る、ゼロベース思考)
  3. 影響力を発揮するための習慣(電話一本の人脈を持つ、組織を一枚岩にする、持論ブログを書く)
  4. 成果思考の習慣(俯瞰シートのアップデート、成果からの逆算、しらけのイメトレ)
  5. 視点を上げる習慣(斜め上の先輩を持つ、シンクロスピードを高める、ブーメラン思考、リーダーとして余裕を持つ)

藤田社長とのやりとり

「ネガティブというものは流行るものだから、もしネガティブな人が出たら徹底的に排除する」

外資系企業であれば、成果をあげられなければ首が切られるというのは、普通のこととしてあるように思われます。

一方で、日系企業の場合はそういうシチュエーションはまずありませんので、その辺りに大きなカルチャーギャップがあると個人的には以前から感じています。

例えば、経営陣に関しては、2年で等級を上げられない、何かしらの成果を挙げられなければクビなど、会社として制度がある方が望ましいようには思います(実際に外資系コンサルティングファームなどでは、成果を上げれない上の役職の人は退職していきます)。

現時点でそのような仕組みがない会社が今後変われるかどうかが、経営力の差なのだろうと感じています。

優秀な人を採用して優秀なチームを作れるかどうかに加えて、組織にマイナスの影響を与えるネガティブな人をきちんと仕組みとして排除できるかどうか、この辺りが中長期的に成功する企業と、そうでない企業の差となるようには思います。

その会社に入れば成長できると思ってもらえるか

以上になりますが、良い会社というのは、投資家観点、経営者観点、従業員観点、ユーザー観点によって異なります。

本書を読んで、組織/人事の側面から考えると、改めて組織の方向性としては「人材輩出企業」と言われるような会社を目指した方が良いのだろうと、漠然と考えています。

少し前であれば、外資系コンサルティングファームや外資系投資銀行の出身者が、特にその後のキャリアで幅広い領域で活躍している(汎用性のあるスキルが身につきやすい)印象がありました。ですが今では、リクルート、DeNA、サイバーエージェント、メルカリなどのIT系企業出身者にも、そのような印象があります。

それはやはり、そこの会社で一定期間働けば、それなりのスキルや成果を上げる能力が身に付くと外から思える部分があるからです。そのため、単に働きやすい会社というのではなく、「その会社に入れば成長できる、キャリアアップできる」と思ってもらえるような会社を目指していく方が、企業の中長期的な成長には良いと考えています。