オンライン質屋ことCASHが最近話題ですが、「電話番号が信用の担保になっている」ということで思い出したフィンテックサービスがあったので書こうかと思います。
かなり前に34億円の資金調達でニュースになった、アフリカでマイクロファイナンスを行うスタートアップの「Tala(タラ)」です。
実は携帯電話番号からは、与信判断のために色んな情報が取得できるという話です。
Talaはそれらの様々な情報を元に、クレジットヒストリーや貯金などがほぼ無い「Unbanked(銀行口座を保有していない人々)」向けに、(銀行などよりも)低金利な融資を提供しています。
マイクロファイナンスサービスを提供するTala
こちらのニュースは34億円資金調達したというニュースですが、Talaのサービス概要も書かれているので少しだけ抜粋します。
同社は、アフリカやアジアの銀行口座を持たない人々、あるいは銀行以外で取引を行う人々にクレジットスコア(支払い履歴、クレジットカード使用歴などを元に計算される信用偏差値)を与え、10~500ドルの少額を融資するスタートアップ。
融資の申し込みは専用のAndroidアプリを通して行われ、タラは申請者のスマートフォン上の支払い履歴、移動履歴などのビッグデータにアクセスして独自のクレジットスコアを作成する。
アプリのダウンロードから融資承認までにかかる時間はたったの5分だ。
平均貸し出し額は50ドル。
利息は11%で、返済は90%を超える。
要は、アプリで簡単に、即座に、少額のお金を借りられるサービスです。
ちなみにTalaはケニヤやナイロビ、フィリピンなどでもサービスを提供しているようでした。
Talaが与信判断に使うデータの例
与信判断のちょっとした詳細がTEDトークで語られていたので見てみました。
この動画では、ケニアに住む65歳の女性ジェニファーさんの例が出てきます。
ジェニファーさんは食べ物の屋台を営むスモールビジネスオーナーで、貯金やローンヒストリーが無く、通常の銀行で融資を受けることができなかったようです。
ちなみにこの地域ではなんと融資に300%もの金利がついたりするようです。
金利300%とは日本とは全然状況が違う世界ではあります…
そんな中、ジェニファーさんは携帯電話からTalaのアプリをダウンロードし、いくつかの簡単な質問に答えてローンの申請をしたようです。
そして、この際にTalaが使用したデータの例が3つほど語られています。
(多少意訳しています)
① Stability in key relations
ジェニファーさんには、ウガンダにいる家族に定期的に電話しているという履歴情報がありました。
→Talaによると、このように数人の親しい人々に定期的に連絡をとる人は、返済確率が4%上昇するそうです。
② Location consistency
ジェニファーさんには、家や屋台など特定の場所に定期的に訪問している履歴情報がありました。
→Talaによると、このように自分の多くの時間を使う場所が一貫している人は、返済確率が6%上昇するそうです。
③ Network diversity
Talaによると、58人以上の人々とコミュニケーションを取る人は、返済確率が高いというデータがありました。
→ジェニファーさんは89人以上の人々とコミュニケーションを取っており、その場合の返済確率は9%上昇するということを、データは示していたそうです。
以上のように、Talaはこのような様々な今まで銀行が保有していなかった情報を利用して、マイクロファイナンスサービスを提供しているようでありました。
結果としてジェニファーさんはお金を借りられることができて、新しいビジネスにもチャレンジできたようでした。
ちなみにケニヤでは過去数年で20万件ものローンが実行され、その90%がきちんと返済されていてるとのことでした。
このビジネスモデルであれば、データが多くなればなるほど精度が高くなり、貸し倒れ率は下がっていくようには思います。
冒頭にご紹介したCASHがどんなデータを集めていくつもりだったのかはちょっと分かりませんが、ふとTalaを見返してみて、現代は何かサービスを使うと色んなデータを取られて分析されていく時代なのだなあと改めて感じた次第ではありました。