金融とテクノロジー雑記

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投資される経営 売買される経営の感想 | みさき投資のみさきの公理とは

投資

みさき投資株式会社の中神社長が書かれた「投資される経営 売買(うりかい)される経営」の感想です。本書は長期投資される経営とはどのようなものなのか、投資家の立場と経営者の立場の両方の視点から語られています。

本書の最後には、個人的にも好きな言葉であるウォーレンバフェットの「私は投資家だから良い経営ができる。私は経営者だから良い投資ができる」という言葉が紹介されていました。

ちなみにみさき投資の資料は金融庁の公式HPにも「長期投資家の視点から見た有価証券報告書」という資料が掲載されてあり、こちらもとても勉強になりました。

みさき投資の投資先と成長事例

www.misaki-capital.com

みさき投資株式会社は、上場企業にエンゲージメント投資を専門に行う珍しいファンドです。みさき投資株式会社の直近の大量保有報告書を見てみると、以下のような企業に投資していることがわかります。

  • 9039 サカイ引越センター
  • 4626 太陽ホールディングス
  • 6409 キトー
  • 8803 平和不動産
  • 7821 前田工繊

サカイ引越センターについては、直近でも保有比率を高めていました。

サカイ引っ越しセンター

サカイ引越センターは、法人営業(学校や病院等の移転)の売上比率がもっとも大きく、次にインターネット、個人引っ越しなようでした。

そういえば、ふと自分が引っ越しした時もサカイ引越センターを使ったなと思い出しました。引っ越し先のマンションによっては、あらかじめ使わなければいけない引っ越し業者が決まっている場合があります。

このような契約によっても、引っ越し業者は売上を安定させているのかなという印象でした。コロナ後も引っ越し需要自体はなくならないようには思いますので、株式の追加購入タイミングとしては適切なのかもしれません。

投資される経営 売買される経営の「みさきの公理」について

みさきの公理

本書においても、金融庁の公式サイトに掲載されている資料においても「みさきの公理」の紹介がなされています。企業が持続的に成長していくためには、事業と人が優れていることに加えて、適切な経営がなされていることが重要といった内容です。

そもそもの前提として、本書では「事業に障壁がなければ価値が持続的にあがるはずがない」とされています。その競争障壁を築くための5つの切り口が以下です。

  1.  「リソース」特定の企業しか持っていない独特の資源
  2. 「規模」規模がもたらすコスト優位
  3. 「スイッチングコスト」変えるのが大変
  4. 「習慣化」嗜好品や習慣化してしまうもの
  5. 「サーチコスト」本当はあるはずの代替物を探すのが大変

以前に読んだ「千年投資の公理」においても、参入障壁を築く「堀」の概念が説明されていましたが、上記のような競合優位性が優れたビジネスには必要とのことでした。

但し、Bが弱くてもPやMが優れていれば、将来的には競争障壁を築く事業を創り上げることができる可能性はあるでしょう。

経営力と経営層の厚みについて

経営陣

また、経営の面では「重要性は高いが緊急性は低い」ことに、実際に経営陣が時間を使って対処できているのか?という話がありました。緊急性が高い事柄というのは、多くの企業で放っておいても対処がなされます。

これは確かに組織で働いていると、そう感じることが多いです。多くの企業において、「緊急事態(=対処する緊急性が高い事柄)」に対しては、既存の業務よりも優先して即座に対応を行うのが当たり前で、そのような事柄への対応ができない企業であれば、そもそもすでに潰れている可能性も高いでしょう。

一方で、「重要度は高いものの緊急性は低い事柄」というのは、どうしても後回しになりがちです。このようにして後回しにしていた事柄が、ふとした時に組織に重大な被害を与えるような要素となってしまうこともあるように思われます。

会社の粋を超え業種の粋も超え、優れた経営に学び自社の経営に活かせることはないかと考える。費用対効果が事前には判然としなくても、改革の必要性を直感して大事な経営資源を大胆に割いていく。抵抗勢力が出てきたら、納得がいくまで説明して中央突破していく。

 

こういったことこそ、経営トップでないとできないはずです。会社がそこそこうまくいっている場合はなおさらそうでしょう。「順境に弱い」人間の性が、「m」改善の手をつい緩めてしまいがちだからです。

上記のような取り組みが実際にできる経営陣というのは、きっと稀なのだろうなと思いました。また、本書では「Management Depth」という概念も紹介されていました。

10年以上といった長期で企業価値が高まるかどうかは、経営層の「層の厚さ」が重要 

とのことです。役員陣に社員からの生え抜きがいるかどうかなども、一つの指標になるといったことが書かれていました。

経営メンバーの強化のためには、外から「出来上がった人」を連れてくることも大切ですが、社内の人材を育てて経営陣を強化することも重要とのことです。

従前より創業者の後継者問題は多くの企業で話題に上がっていますが、経営陣を輩出できるような人材育成の仕組みが社内にないと、創業者がいなくなってしばらくすると、成長が続かなくなってしまうといったこともありえるのでしょう。