以前読んだ「NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX」に加えて、最近「NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く」も読んだので、これらの内容で参考になったところをメモしておきます。
- ネットフリックスの5つのカルチャー
- リーダーの最優先目標とは
- 十分な退職金を払って辞めてもらうという考え方
- 最高水準の報酬を払い続けることは実はコスト効率が良い
- 能力密度の維持が大切で、何を達成したかで評価する
- 相手に面と向かって言えることしか口にしない
ネットフリックスの5つのカルチャー
ちなみにネットフリックスのカルチャーについては自社のホームページにも、以下のように掲載されています。
- 社員一人ひとりの自立した意思決定を促し、尊重する
- 情報は、広く、オープンかつ積極的に共有する
- とことん率直に意見を言い合う
- 優れた人材でチームを構成し続ける
- ルールをつくらない
ネットフリックスのカルチャーに興味のある方は、まずはホームページを読まれてみるのがおすすめです。
リーダーの最優先目標とは
リーダーの最優先目標は、最高の同僚だけで構成される職場環境を整えることだ
最高の同僚とは、重要な仕事を山ほどこなし、しかも類まれなクリエイティビティと情熱を持った人材である
ジャーク、怠け者、人当たりは良くても最高の成果は挙げられない者、悲観論者などがチームにいると、全員のパフォーマンスが低下する
NO RULESでもNETFLIXの最強の人事戦略でも、特に印象に残ったのが上記の部分です。
ネットフリックスの本では、会社のメンバーをファミリーではなくプロスポーツ選手として例えています。これは高い成果を上げ続ける組織を創るにあたってはとてもワークするだろうなと感じましたし、わかりやすい例えだと思いました。
プロスポーツ選手であれば、パフォーマンスが上がらなければ契約は切られてしまい、そのチームにはいられないと言うのは当たり前に受け入れられます。
一方で、会社のメンバーをファミリーとして捉えていては、例えパフォーマンスが上がらなかったとしても、なかなか首を切ったりすることもできません。
このメンバーに対する根本的な考え方の違いが、ネットフリックスを並の会社ではなく、高い成長を続ける企業にしたのでしょう。
十分な退職金を払って辞めてもらうという考え方
シーラが失敗しそうな提案を持ってきたら、そもそもなぜシーラを採用したのか、なぜ彼女に個人における最高水準の報酬を払うことにしたかを思い出すべきだ。
次の4つの問いを考えてみよう。
- シーラは抜群に優秀か
- 優れた判断力があるか
- 会社にポジティブなインパクトを与える能力があるか
- あなたのチームにふさわしい人材か
いずれかの問いへの答えが「ノー」であれば、シーラには会社を去ってもらうべきだ
ネットフリックスの本では、「十分な退職金を払って辞めてもらう」と言うフレーズがよく出てきます。
実際にこれはとても有効な手法だと感じます。特に採用ミスをした場合など、退職してもらわなければ将来的に発生し続ける損害をなくすことはできませんので、ミスのリカバリーにはそれなりのコストを払う必要性もあるようには思います。
最高水準の報酬を払い続けることは実はコスト効率が良い
優秀な人材が集まる環境では、最高水準の報酬を払い続けることが長期的に見ると最もコスト効率が良い。
トップクラスの人材を引き寄せ、何年も会社にとどまってもらうためには、必要な分より少し多めに給料を払い、社員のほうから求める前に給料を上げ、転職活動を始める前に大幅にアップするのが最善の策なのだ。
最初から多少払いすぎる方が、このような人材を失ってからその代替を探すよりずっと安上がりだ。
これは痛感するところで、どこかで優秀な人材の退職などがあると、新たに優秀な人材を雇うのにもコストがかかりますし、時間的にはそのリカバリーに1年以上かかる場合もあるからです。
例えば、新しく優秀な人材を採用するために3ヶ月〜半年ぐらいかかり、オンボーディングに3ヶ月〜半年ぐらいかかるとすると、予期しない突然の優秀な人材の流出によって、元の状態に戻るのにすら丸々1年以上かかることすらあります。
その間に外部環境も内部環境も大きく変化しているでしょうし、競合に差をつけられる可能性もあります。そうなってくると、今の優秀な人材に働き続けてもらった方が会社としても得だなとは思います。
能力密度の維持が大切で、何を達成したかで評価する
ネットフリックスができるだけ避けようとしているのは、市場価値が下落したときにそれに合わせて社員の給料を引き下げることだ(勤務地が変わるときはその限りではない)。
それは間違いなく社内の能力密度の低下につながる。
何らかの理由で人件費を負担しきれなくなったら、一部の社員を解雇することで、個人の給料は下げずに総人件費を引き下げ、能力密度の維持を図るだろう。
「シェリーは実にインパクトのある仕事をするので、昇進させたい」という発想をしてもらいたい
この情報化時代に重要なのは、何時間働いたかではなく、何を達成したかだ
ネットフリックスの考え方は、いわゆるプロフェッショナルファームなどで働いている人にとっては馴染みやすいように思いました。一方で、今の多くの日本の会社が参考にするには、まだまだギャップがありそうだなとも思います。
そんな中で先日読んだサイバーエージェントの人事制度は、外資系の良いところを取り入れつつ、日本の会社に馴染むようにカスタマイズして創り上げていっているようには感じます。実際に自社の人事制度に応用していくには、そのまま社外の事例を当てはめるのではなく、自社にあったカスタマイズが必ず必要になってくるのでしょう。
相手に面と向かって言えることしか口にしない
最後に、これは実際にやってみようとすると結構難しいと感じることもあるのですが、示唆に飛んでいると思った一文をご紹介しておきます。
他人の話をするときは、相手に面と向かって言えることしか言うな
ちなみに冒頭で紹介したホームページにも、以下の説明がされています。
誠実さの項目には「仲間について、当の本人に面と向かって言えないようなことは誰の前でも言わない」とあります。
これは特に入社したばかりの社員にとって、最も信じがたい(もちろん、実践するのも非常に難しい)項目かもしれません。
社会的な場でも仕事の場でも、誰かについて思ったことをそのまま口に出す人は、たいていすぐに孤立し、人の輪から締め出されてしまうものです。
Netflixでは、プロフェッショナルとしての建設的なフィードバックを、上下関係を問わずに社内全体で常に交換できるような環境作りを目指しています。
誰でも間違いは犯すものだということを社内のリーダーたちが率先して認め、積極的にフィードバックに耳を傾けています。
社員はいつも「どうすればもっとうまくやれるだろうか?」と周りに尋ね、「まだ仲間へ共有していないフィードバックはあるだろうか?」と自身にも問いかけます。
この取り組みについては意識していないと難しいと感じる部分もあるものの、自分でも気をつけてやっていきたいなと思います。