金融とテクノロジー雑記

勉強になった本の感想など

三井住友銀行は三菱東京UFJ銀行の3倍。米国やフィンテックベンチャーから学ぶ金融機関のSNS活用。

SNS

ソーシャルメディアマーケティングの重要性については、かなり昔から叫ばれています。そんな訳で、今回は日本の金融機関のSNS活用状況を調べてみました。

余談ですが、先日このブログを自分のFacebookで投稿したらかなりアクセス数が伸びたので、僕自身もSNSの影響力の大きさを改めて感じました。

はてなブログは匿名のイメージがありましたが、自分の場合は特段匿名である必要もなかったので、今後も読まれた記事はFacebookでもシェアしようかと思います。

Facebookフレンドには金融機関勤務の友人もいるので、ちょっと日本の金融機関をディスる記事が書き辛くなった感はありますが、そもそもこのブログは僕が思うところを自由に書くものでしたので、気にせず今回も日本の金融機関のダメ出しをしてみました。

メガバンクのFacebookページいいね!数ランキング

日本のメガバンクのいいね数!はこのような状況です(1月12日の調べた時点の数)。

  • 三井住友銀行:146,546(開始:2014年9月30日)
  • 三菱東京UFJ銀行:47,188(開始:2013年2月28日)
  • りそな銀行:22,083
  • みずほ銀行:21,494

見ての通り日本では三井住友銀行さんが圧勝です。

ではなぜ三井住友銀行さんは、三菱東京UFJ銀行さんよりも後発にも関わらず、約3倍ものいいね!数を獲得できているのでしょうか?

三菱東京UFJ銀行のFacebook戦略

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これはFacebookのタイムラインを見ればすぐに分かります。

三菱さんは「当行のなんちゃらかんちゃらをご紹介(主にCSRの宣伝)」みたいな記事をタイムラインで流されていて、はっきり言ってしまえば多くの人にとって超つまらないコンテンツを提供しています。

最近は「FinTechアクセラレータ」というFinTechブームでいいね数!を伸ばしている印象がありますが、このまま継続しても恐らくいいね!数は三井住友銀行さんには追いつかないでしょう。

何故なら、「当行のCSRや当行の○○部」をご紹介されても、多くの人は興味が無いからです。ちなみに三菱さんのFacebookページの詳細はこんな感じです。

私たち三菱東京UFJ銀行は、「顔の見える銀行」をコンセプトに、さまざまな情報をお届けしてまいります。

まず、「さまざまな情報とは?」という疑問を抱かざるを得ないことに加えて、経営層が考える「顔の見える銀行」のコンセプトを、現場が取り違えてしまっている感は否めないでしょう。

日本のトップ銀行がこのような感じですので、日本の金融機関のソーシャルメディアマーケティングが、IT業界の方々からしたら残念な感じなのは一目瞭然です。

キャラクターを活用した三井住友銀行のFacebook戦略

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三井住友銀行 ソーシャルメディア公式アカウント : 三井住友銀行

三井住友銀行さんのいいね!数が急激に伸びているのは彼のおかげです。

その名も「みどすけ」です。

三井住友銀行さんのFacebookページでは、この「みどすけ」がお金に纏わる有益な情報などを提供してくれます。ちなみにFacebookの詳細ページにもこのような内容が記載されています。

三井住友銀行の公式Facebookページです。

銀行やお金にまつわる楽しい情報を発信していきます。

このFacebookページのタイムラインと詳細を比較して、三菱さんと三井住友さんのどっちに「いいね!」をするかですが、三井住友さんのFacebookにいいね!をすれば「お金に関する知識」が得られることが分かります。

一方、三菱さんのFacebookにいいね!をしても、「当行の○○部のご紹介!CSRのご紹介!」とかですから、僕でしたら間違いなく三井住友さんにいいね!を押します。

ちなみに、三井住友さんは、Facebookで採用ページも別に作っていたり、さりげなく外貨預金の宅配サービスを提供していたりと、先進的な面があったりします。

りそな銀行とみずほ銀行のFacebook戦略

りそな銀行さんはこんな感じです。

金融サービス業として“真のリテールバンク”を目指すりそなグループの公式facebookページです。

多くの方にとって「そうですか」という感じになるかと思いますが、タイムラインをちょっと覗いてみると、三菱さんと同じく「○○支店の何々です!」をやっている感じでしたので、今後も多くの読者を獲得することは無いでしょう。

「顧客から選ばれる特別な銀行」や「顧客にフレンドリーな銀行」を目指すリテール戦略は非常に重要ですが、読者が関心のあるコンテンツを提供された方が良いかと思います。

みずほ銀行さんはこんな感じです。

みずほフィナンシャルグループのさまざまな情報をお届けします。

「さまざまな情報」のざっくり感も凄いですが、実際タイムラインに流している情報も誰向けなのか良く分かりません。恐らくターゲットもコンセプトも明確になっていないのでしょう。

みずほさんは「ハリネズミのキャラクター」を持っているので、まずは三井住友銀行さんを徹底的にパクるのが戦略としてはありかと思います。

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みずほ銀行:ソーシャルメディアキャラクターのご紹介

米国の銀行のソーシャルメディア活用

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ちなみに米国の有名銀行のいいね数!を4つほどご紹介するとこんな感じです。

  • Chase:3,862,844
  • Bank of America:2,319,395
  • Citi:886,165(Citibank US:1,066,898
  • Wells Fargo:862,476

「そもそも人口の問題があるじゃん!」って話はあるのかもしれませんが、それを差し引いても米国の銀行のソーシャルメディア活用が日本の数年先をいってるのは一目瞭然でしょう。

ChaseはFacebookページの説明自体はしていませんが、タイムラインを見れば様々なファイナンスに関する有益な情報を提供していることがすぐに分かります。

当然ながら「○○部のご紹介!」とかはやっていません。特に動画の活用が目立ちましたので、今度じっくり見てみようかと思います。

ちなみに僕の好きなWells FargoのFacebookページの概要はこんな感じです。

We’re here on Facebook to provide you with updates, financial tips, and other information.

We welcome your comments, however our Facebook page is NOT a customer service channel.

If you need help with your account or a service, you can make an appointment online to meet with a banker (https://www.wellsfargo.com/appointments) or call 1-800-869-3557, or find us on Twitter at @Ask_WellsFargo or visit

https://www.wellsfargo.com/locator to find a location near you. Thanks so much for your understanding.

簡単に訳すと、「Facebookではお金に纏わるチップスなどを提供していて、ユーザーがFacebookに直接コメントするのもウェルカムです。何か口座やサービスに関して不明点があれば、HPから銀行員にアポが取れますし、電話やtwitterで連絡してもらっても構いません。また、近くの支店をここのHPからすぐ探せますよ。」というような内容が記載されていて非常に親切です。

日本の金融機関はフィンテックベンチャーを見習うべき

フィンテック

日本の金融機関のSNS活用が、欧米に比べて非常に遅れているというのはお分かり頂けたかと思います。

ちなみに日本の金融ベンチャーでSNS活用が上手いのは、恐らく日本のMint.com(個人の資産管理サービス)ことマネーフォワードさんとfreeeさんでしょう。

両者ともにお金や経理に関する非常に有益な情報を読者に提供しており、現在のいいね!数はマネーフォワードさんが「15,495」、freeeさんが「23,042」で、なんとfreeeさんはりそな銀行さんを抜いていました。

日本の大手金融機関は、欧米のみならず日本のフィンテックベンチャーからも学ぶことがいっぱいあるような気がします。