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元銀行員の金融とテクノロジー雑記

主に金融とテクノロジー(フィンテック・ブロックチェーン・ビットコイン)、投資(株式・FX・不動産)を学ぶために書いているただの雑記。

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マイクロ・インシュアランスを提供するBIMAのUnbanked向けサービスはスケールするのか。

FinTech(フィンテック) FinTech(フィンテック)-保険

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2016年注目の欧州FinTechプレイヤーの一つとして挙げられていた「BIMA」について書こうかと思います。

uk.businessinsider.com

BIMAはモバイルを通じて「マイクロ・インシュアランス」を提供するスウェーデン発のスタートアップです。ちなみに先日もちょっと書いた InsTechのジャンルです。

マイクロ・インシュアランスとは?

そもそも「マイクロ・インシュアランス」とはなんでしょうか?

こちらのニッセイ基礎研究所の記事によると、

マイクロクレジットが小規模融資であるように、マイクロインシュアランスは一件あたりの掛金・ 保障額が少ない小規模保険を指す。

主として低所得者層、小規模事業主、インフォーマル・セクター で働く人々等を対象とし、従来の保険に加入することが難しかった彼らに対して、生活上のリスクを 回避・軽減する手段のひとつとして提供される仕組みである。

とのことです。

グラミン銀行で有名な「マイクロ・ファイナンス」と違って、「マイクロ・インシュアランス」でググっても残念ながらあまり記事はなかったのですが、主に低所得者層向けの保険になります。

この低所得者層には当然「Unbankedの人々(銀行口座は持っていなくてもスマホは持っている人々)も含まれます。そのような人々は世界には沢山いるので、彼らを狙ったサービスは今後確実に増えてくるでしょう。

日本で新興国向け支援の金融サービスというと、クラウドクレジットさんを思い出しましたが、あんまり日本には「Unbanked」向けのサービスなどは無いように思います。

中々日本で生活しているとちょっと遠い世界すぎて、関心がないというより、そもそもそのような存在を「知らない」という人も多いのかもしれません。

BIMAのサービスのポテンシャル 

そんな中でBIMAのサービスがどんな感じかというと、こちらのBBCのニュースが分かりやすかったので一応貼っておきます。

冒頭の記事とこちらの動画をちょっと掻い摘んで説明すると、ある調査によると世界には4億人のマイクロ・インシュアランスの潜在顧客がいるとのことです。

現在のBIMAの顧客は世界16カ国に2400万人で、メインはバングラディッシュの700万人。顧客の93%は1日に10ドル以下の収入で暮らしている人々だそうです。

そんな顧客達の特徴は、銀行口座は持っていないものの、その約80%が携帯電話を保持している点です。

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出典

BIMAのHPによると、新興国への携帯電話の浸透率80%に対して、保険の浸透率はたったの2~3%。市場的にはこういう部分にチャンスがあるとのことでした。

BIMAのサービスの概要

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出典

ちなみにBIMAの保険に入る際の携帯電話はスマホである必要はなく、また、5つの簡単な質問に答えるだけで保険に入ることができるようです。もちろん紙での契約は不要で、更にはヘルスチェック(健康診断)も不要とのことでした。これは凄いですね。

最低毎月たったの0.23ドル(約20円程度)から入ることができ、実際に保険金の請求が生じた際は、3日以内のお支払いを約束しています。

ちなみにこのお支払いに関しては、モバイルマネーを携帯電話に送るとのことでした。ここも結構ポイントなように思いますが、要は銀行口座はいらないって話です。

銀行口座がいらないって話題だとビットコインを思い出すんですが、モバイルマネーもまあそうだよなあとふと思ってしまいました。携帯電話に残高が残るイメージでしょうか。まあもしかするともっと遠い将来は、携帯電話すら無くなってしまうのかもしれませんが。

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出典

BIMAは各国の携帯電話会社と提携していて、それら携帯電話会社を通じてお金を徴収しているようです。従業員数はたったの15人にも関わらず、3500のセールスエージェント(要は保険の代理店で彼らが顧客を増やしていく)と提携しており、幅広い国で事業を展開していたりと、興味深いサービスだなあと思いました。

BBCのニュースでは、成功のポイントはスケールすることと、モバイルテクノロジーによるコスト削減や効率化と話していましたが、顧客一人一人からの収益はあまり高くなさそうですので、正に顧客数がポイントになるようには思われます。

また、実際に家族の死亡によって保険金1,000ドル(約10万円程度)を支払ったとしても、それが顧客の2~3年の給料に匹敵する場合もあるとのことですので、確かにリスクもそんなに高くもないビジネスモデルのようではあります。

保険金10万円とは中々日本では考えられない少額の支払いではありますが、1日10ドル以下で生活する人々に取ってはそれなりの額になるのでしょう。ちなみにHPによると現在までに300万ドル以上は支払っているようです。

ちなみにこのモバイルテクノロジーについては以前少し書いたのですが、日本でももっと色んな面で保険サービスもモバイル化が進むと良いよなあと思う今日この頃です。

最近ではWealth Naviなどスマホのロボアドバイザーや決済サービスが日本でも台頭して来ましたが、まだまだスマホによる個人向け金融サービスの領域は、欧米と比べて遅れているようには思います。

Wealth Navi

根強い日本の紙文化と印鑑文化

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最後にBIMAの契約のスムーズさに関連して、ふと既存の日本の金融サービスの契約に関して思い出したことがあったので書きますが、紙ベースでの契約締結の手間って、凄まじい気がしています。

紙ベースでの契約締結そのものがまず手間ですが、それ以外にも、例えば銀行の融資契約締結の際などは印鑑がちょっと不鮮明であったりすると、再度契約締結をしなければならなかったりと、電子化したら発生しないような手間がまだまだたくさんあります。

この印鑑に関しては、顧客との契約締結だけでなく、銀行内部では毎日無駄に印鑑を押しまくる謎な文化も根深く残っています。

ほぼ全ての書類に印鑑を押さなければならないので、紙もインクも膨大に無駄ですし、今思えば凄まじく非効率的な働き方な訳ですが、ああいう無駄な作業というのは、中々トップダウンで改革しないと無くならないのでしょう。

日本のトラディショナルな企業は、伊藤忠みたいにトップダウンで今日から朝型にするよーみたいな強制的な号令が無いと、殆ど変わらないのでしょうね。

紙文化や印鑑文化がテクノロジーによって消滅するのは一体いつなのか?

来たるべき未来ではあるとは思いますが、中々時間がかかりそうではあります。テクノロジーの進歩によって金融機関では職を失う人も増えてしまうでしょうし、中々やりたがらない面もあるのかもしれません。