金融とテクノロジー雑記

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TIME TALENT ENERGYの書評 | ディファレンスメーカーの配置の重要性

タイムタレントエナジー

ネットフリックスの「No Rules」も組織創りに非常に参考になる良い本だったのですが、「TIME TALENT ENERGY」も体系的に組織の生産性を最大化するマネジメントを学べる良書でした。

ディファレンスメーカーとは

www.worksight.jp

本書で度々出てくるのは、「ディファレンスメーカー」という単語です。ディファレンスメーカーは上記の記事では以下のように紹介されています。

興味深いのは日本でもグローバルでも、優良企業とそれ以外の企業で、違いを生み出すAクラス人材、すなわち「ディファレンスメーカー」の割合はそれほど変わらないということ。

ということは、いかにそういう人たちの能力を生かすか、いかにチーム化するかが焦点となるわけです。

要は優秀な成果を生み出すAクラス人材を、本書ではディファレンスメーカーと呼んでいます。

そのディファレンスメーカーを、自社の最重要部門に配置せよという示唆が本書ではなされています。そしてオールスターチームのリーダーにも、リーダーとしてのAクラス人材を配置する必要があると解説されています。

スター社員、並みの社員、成績不振者をバランスよく組み合わせたチームを編成する企業もある。

どうやらスター社員が他の社員を底上げしてくれると期待してのチーム編成らしいが、こうしたチームがうまくいくことはまずない。

個人的には、このTIME TALENT ENERGYの考え方には非常に頷ける部分がありました。

優秀なチームに、一人でもマイナス要素をもたらす人材が入ってしまうことで、チームとしての生産性が大きく下がってしまう事例を、過去に何度も見てきたことがあるからです。

一般的な日本企業の経営者やマネージャーは、基本的には社員のクビを切ることができません。そのため、基本的には「人」ではなく「組織」を変えようとする方法をとることが多いと思うのですが、それはやはり間違った打ち手であり、根本的な組織課題の解決にはならないのでしょう。 

人材計画の策定方法

人材計画

本書では「人材への投資には、会社の戦略が反映されているのか」という疑問が投げかけられており、人材計画策定方法も紹介されてます。

しっかりとした人材計画は、自社の戦略やビジネスモデルに照らして、競争優位を確立するのに必要な能力・手腕を明確に定義することから始まると解説されており、具体的には以下3点を吟味します。

  1. 価値を高めるのは何か。現在、そして将来、収益性を保ちながら持続的な成長をもたらす源泉は何か
  2. 社内でどの能力が最も重要なのか。競合他社との差別化につながる(と同時に競合他社より優れた)製品、サービス、体験を顧客に提供する上で、どのような実行能力や資産が不可欠か。こうした重要な実行能力において、どこにギャップがあるのか。どの部分で取り組めば、大きな競合優位を獲得できるのか
  3. どこに重点投資するのか。優先分野に効果的に予算を確保できるようこれらの重要な実行能力に対して、希少な経営資源を重点的かつ十分に振り向けているか

これらも深く考える必要のある問いだと思いました。続いて、本書ではネットフリックスの事例も紹介されていましたので、そちらも合わせて個人的に重要だと思った部分をメモしておきます。

ネットフリックスの事例

社員にしてあげられる最高のご褒美は、フットボールの観戦チケットを配ることでも寿司を振舞うことでもない。彼らの同僚として一流の人材だけを採用すればいいのだ。優秀な同僚はすべてに勝る。

 

 ネットフリックスが採用するのは「大人として振る舞える人格者で、会社に対する使命感があり、自ら思慮分別を働かせて責任を果たすことを心得ている」自立した人物だ。

ネットフリックスのNo Rulesでは、「タレントの密度」という話が何度も出てきます。

こちらの記事にもまとめられていましたが、優秀な成果を上げる「タレント」は、同じぐらい優秀な人たちと働きたいと思うため、経営者はエース級の人材ばかりを職場に揃えるべきだという考え方です。

個人的にはこの価値観には共感できるものの、人によってはそう思わない優秀な人材も存在するようには考えています。また、本書では「優秀な人材」とはどういう人材なのかも紹介されています。

優秀な人材とは

優秀な人材になるかどうかは、学習速度、つまり学びに対するフットワークの良さに大きくかかっている。学習速度を根底から支えるのは、データに対してオープンに感度を上げることである

 

もう1つの重要な要素は、フィードバックとコーチングを建設的に受け止め、反応する能力である

本書では優秀な人材になるかどうかは、学びに対するフットワークの良さが重要と紹介されています。「How Google Works」で紹介されている「ラーニングアニマル」のような発想は、世界共通と言えるのでしょう。

また、それだけでなく、他人の意見を建設的に受け止め、反応できる能力の重要性をも示唆されています。いくら学びに対して貪欲であっても、他人からのアドバイスを全く受け入れない人や、他人との協調性が全くない人材などは、優秀な人材とは言えないのでしょう。

社員が仕事に対して当事者意識を持つようになるには

本書では、社員が仕事に対して当事者意識を持つためには、以下の3つが必要と解説されています。

通常、社員が仕事に対して当事者意識を持つようになる過程として、次の3つがある。

まず仕事の中身そのものに愛着を感じているケースだ。次に、他の社員(上司や同僚)との関係性によって当事者意識を持つケース。そして、会社の目標に共感しているケースだ。 

最後の「会社の目標に共感」というのは、要はOKRの仕組みがきちんと組織に浸透している状態とも言えるのかなと思いました。

そこまでOKRの仕組みを綺麗に導入できないのが多くの会社の実情かとは思うものの、理想的には組織はそうなっていることが望ましいとは感じています。

勝てる企業文化に重要な7つの価値観

企業文化

本書では企業文化の重要性についても触れられており、以下の7つの価値観が勝てる企業文化に重要な価値観と紹介されています。

  1. 革新的であること(十分に情報を検討したうえでリスクを取り、失敗に学ぶ勇気を持つことを含む)
  2. 高い志を持つこと(大きな使命をオープンに追求・採用すること)
  3. 誠実であること(率直なコミュニケーション、最高の論理基準の尊重を含む)
  4. 責任感を持つこと(個人の部分最適ではなく企業の全体最適を重視する姿勢を含む)
  5. 協力的であること(互いに信頼し合い、チームワークを示す)
  6. 機動的であること(変化を予見し、先んじて準備すること)
  7. 「人」志向であること(社員と会社の使命を結び付けて、やりがいと当事者意識を醸成する労働環境を整えること、最高経営幹部と現場の社員を結び付けて当事者意識とやる気を引き出すこと、経営陣・社員と顧客・地域社会を結び付けて会社の目的を補強することにより、人間的な関係づくりに注力すること)

言葉にすると当たり前のようには感じるものの、このような誰もがそうだよねと納得するような普遍的な価値観が、実際はとても重要なのかもしれません。但しこれも時代とともに変わっていく可能性はあります。

タイムマネジメントの重要性

最後に、本書で紹介されていた有名なピータードラッカーの言葉を引用しておきます。

「時間は希少な資源である。時間をマネージできずして、他に何がマネージできるというのか」

常に「忙しい」が口癖になっていると、他人からは時間をマネージできていないようにも捉えられてしまいますので、この点は気をつけたいところだなと思います。